一度死んでから生き返る! “ゾンビパウダー”として用いられたフグ毒「テトロドトキシン」のヤバすぎる作用とは?

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TTX_2.jpgイメージ画像:「Thinkstock」より

●フグの毒はどこからくるのか?

 このテトロドトキシン、実はフグだけでなく、スベスベマンジュウガニやヒョウモンダコ、淡水域ではアカハライモリ、さらに陸上に暮らすコウガイビルも持っていることが知られています。

 つまり、かなり多くの動物に共通する「毒」であるという非常に面白い特徴があるのです。海洋生物から淡水、さらには陸上の生物までその毒を持っているというのは、一体どういうことなのでしょう?

 これは大いなる謎で、完全には解明されていません。

 当初は、有毒生物がそれぞれ体内で作るという内因性起源説が有力でしたが、後に否定されており、現在は共生微生物起源ないしは外因性起源とされています。

 これについて詳しく説明しましょう。

 まずは共生微生物起源。フグをはじめとする動物の腸内に共生する細菌の一部(プレジオモナスやビブリオの仲間)は、TTXを生産することが知られています。一方、自然と隔離した養殖フグはTTXをほとんど持ちません。そのため(野生の)フグは、水中から得られたこれらの細菌が腸内で生産したTTXを溜め込んでいるのではないかという説です。しかし、TTXを溜め込んだ生物自体になぜ耐性があるのか、また種によっては毒液として特別に使うよう精製できているのか、詳しいメカニズムはわかっていません。

 また、単純にTTXは自然界に広く存在しています。比較的安定した化合物なので、海洋中の泥のなかにも1gあたり25~90ナノグラムオーダーで含まれているのです。そして、この泥をエサとする動物の体内にもTTXは微量に蓄積されています。つまり、そのような動物を食べることでフグの体内にもTTXが蓄積される、これが外因性起源です。しかし、この説では海の生態系のトップに位置するマグロやサメなどが猛毒になってしまいそうですし、フグや一部のタコ類などが大量の毒を持っていることの説明がつきません。

 以上のような理由から、正解は共生微生物起源と外因性起源の両方。フグなど一部の生物は、体液を浄化する肝臓などでTTXを濾過して選別し、特定の臓器に溜め込むように進化したと考えられています。

 後編では、TTXの作用機構と、この猛毒を使った完全犯罪目前の事件に触れてみたいと思います。
(文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ


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■くられ
 添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた新刊『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』(三才ブックス)が好評発売中。
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【これまでの猛毒一覧】
・ 青酸カリ「前編」「後編
・ リシン「前編」「後編
・ クロロホルム「前編」「後編
・ 一酸化炭素「前編」「後編
・ 覚せい剤「前編」「中編」「後編
・ トリカブト「前編」「後編
・ タリウム「前編」「後編
・ ドクウツギ「前編」「後編
・ ヘロイン「前編」「後編
・フグ毒「前編」「後編

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