顔に改造ウジ虫を垂らし、死人続出! 理解不能な【封印ナチス映画】『ヒットラー蘇生計画』

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

顔に改造ウジ虫を垂らし、死人続出! 理解不能な【封印ナチス映画】『ヒットラー蘇生計画』の画像1※画像:『ヒットラー蘇生計画 Dr.フレデリックの復讐』

今回の映画:『ヒットラー蘇生計画 Dr.フレデリックの復讐』
1977年/日本

 なぜか2011年のベルリンに甦ったヒトラーが周囲の人々から「ヒトラーのソックリさん」と思い込まれ、人気コメディアンとして活躍するドイツ映画『帰ってきたヒトラー』(15年)が、日本では今年の6月から公開され好評を博した。ヒトラーが登場する映画といえば、古くはチャップリンの『独裁者』(40年)からクエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』(09年)まで、実に多くの作品が製作されてきたが、そんな中で最もトンデモナイ作品は何か? 迷わず言おう、『ヒットラー蘇生計画 Dr.フレデリックの復讐』だ!

 この作品は、日本ではビデオ発売止まり。現在は鑑賞困難なため、あえてネタバレしつつ紹介しよう。だがなにせこの映画は、3度見直してようやく8割がた理解できるくらい難解な内容だ。ただし難解といっても、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』のような観念的SFや、フェデリコ・フェリーニ作品などの芸術系とは勝手が違う。ほとんどの台詞や行動がなんの説明なしに展開し、かなり後になってから「あ、そういうことだったのか!」とわかるのだ。

 そういう伏線張りは2つか3つくらいがちょうどよいと思うのだが、この作品に関しては全編フラグ! 登場人物が何を言っているのか、何をしているのかさっぱりわからず、最後まで何者だか判明しなかった人物もふたりいた。

 とにかくストーリーをわかる範囲で説明していくが(憶測含む)、ヒトラーの呼称は作品のビデオ邦題に倣い、製作当時に表記の多かった「ヒットラー」で進めさせてもらう。

■あらすじ

 カストロ政権下のキューバに武器密輸に関わる、ドイツ系米国人の「死の商人」カール・シューマンが入国した。空港に居合わせた新聞記者は、それを上司のケーシーに電話で報告する。だがモップで床を拭く動作をしながら電話ボックスに近づいてきた清掃員がアイスピックで瞬時に記者を刺殺した。清楚員に扮した殺し屋だった。

 記者の報告を受けたケーシーは、シューマンが恋人のフレデリック博士と接触するとにらむ。そして博士が実験助手としてナースを募集していると聞き、スパイとして看護師資格を持った(たぶん)クリスを彼女が常駐する病院に送り込む。部下を殺されたケーシーが、「絶対にホシを挙げてやる!」と叫ぶと、007風オープニングテーマ曲がカッコよく流れ出す

 場面は病院のシーンに移るが、その片隅で休憩中のナースが下着姿で日光浴をしているのはさすがアメリカといったところか。その病院の敷地内のある秘密実験室でフレデリック博士は、ウジ虫に人肉を食わせ、口にカギ爪状の牙がある変種を誕生させていた!! その変種ウジ虫は、老化した人間の皮膚を食べると、その人が若返る可能性があるというから足の角質を食うドクター・フィッシュもびっくりのシロモノ!! そして実験台には、人間の内臓や手足が入ったトレイが並んでいる。博士はクリスに死体安置所から死体を盗ませ、バラバラにしてウジ虫に与えていたのだ。原題の『FLESH FEAST』(人肉の宴)とはこのことか。

 やがて南米からペデスという中年男がヒゲと大男のふたりの用心棒を伴い、「総統の命令で来た」と博士を訪問する。大男の方は空港で記者を暗殺した男だ。総統? 自殺したヒットラーが南米で生き延びているというアノ都市伝説か? どうやらペデスは実験の進捗状況を確かめに来たようだ。しばらくしてペデスは、ナチス残党の武器入手先と思しき武器密輸組織のボス・マックスを連れてくる。若返りたいボスは自ら検体を買って出たのだ。

 場面転換すると、いつのまにかマックスのウジ虫実験が終わっていて(実験シーンなし)、顔には包帯が巻かれていた。なぜか博士不在の病室で美人ナースのシャロンがマックスの包帯を解いていく…と、見事マックスの顔は若々しい青年になっていた

顔に改造ウジ虫を垂らし、死人続出! 理解不能な【封印ナチス映画】『ヒットラー蘇生計画』の画像2※画像:『ヒットラー蘇生計画 Dr.フレデリックの復讐』ジャケット裏面

 マックスはここぞとばかりシャロンの手を握り「キスしてくれ」とセクハラを始める。「私の若い頃は、手荒に扱った方が女は喜んだよ」とジジイ特有の「私の若い頃」理論を振りかざし、拒むシャロンをベッドに押し倒す。シャロンが大きな声で助けを呼ぶと、マックスは彼女の首を絞める! そこへ実はシャロンと恋仲になっていたヒゲが駆け付け、ナイフでマックスの背中を刺し殺害。だが、時すでに遅く、シャロンも死んでしまっていた

 とりあえず実験が成功したので、そんなゴタゴタはスルーして、ペデスが「総統」と呼ぶ杖をついた老人を実験室に連れてきた。まだ後姿しか見えないが、この人物こそ実験のメインゲストだ。手術台に寝かされた老人が顔を見せると「ジャジャ~ン!」と音楽が鳴り、ようやく全貌があらわに。ヒットラーだ! って、タイトル見て最初から知っているけど。少ない前髪をオデコに流し、チョビヒゲを付けただけというヒットラー顔には苦笑するしかない

 博士はヒットラーの存在を意に介さず、タメ口で会話し、準備を進める。そして、ヒットラーを動けないように手術台に拘束した後、博士はいきなり「ナチスにいた母は、この実験で殺されたのよ」と告白する。そう、これはナチスの人体実験の失敗で母親を殺された博士の壮大な復讐だったのだ!

 ヒットラーはギクリとして「それは科学の進歩のため、ナチの栄光のために」と弁解するが、博士は「これは民主主義のために」とウジ虫を彼の体中に振り掛ける。「あれはアイヒマンの仕業だ」と往生際の悪いヒットラーの顔面に、博士は「イヒヒヒ」とウジ虫を1匹ずつ落としていく。ウジ虫が皮膚に噛み付くたびに悲鳴を上げるヒットラー。それを見て高笑いする博士。でも、これじゃヒットラーの若返りを手伝うだけでは? どうやって復讐を遂げるのだろうか?

 手術台の真正面の壁には、博士の母親の肖像画がヒットラーを見下ろすように掛かっている。博士はうめき苦しむヒットラーに向かって「ハイル、ヒットラー!」と右手を挙手。ラストになって初めて出るヒットラーの名。苦悶するヒットラーの顔に博士の笑い声がかぶさり、その後ヒットラーをどう始末したのかは語られず、そのまま物語は幕を閉じる…。

顔に改造ウジ虫を垂らし、死人続出! 理解不能な【封印ナチス映画】『ヒットラー蘇生計画』の画像3

 このマッドサイエンティストなフレデリック博士を演じたヴェロニカ・レイクの画像をググってもらえばわかるが、絶頂期は惚れ惚れとする妖艶な美女。1940年代のフィルム・ノワール(退廃的な犯罪映画)のヒロインとして根強い人気を持ち、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の劇中での登場人物たちの会話「寝たい往年のスター」で名が挙がったほどだ。レイクはこの作品を自らプロデュースして主演も務めたのだが、公開3年後の1973年にアルコール中毒による合併症で50歳という若さで亡くなっている。彼女はヒットラーをテーマに何が言いたかったのだろう…。次回、もう少しマトモなヒットラー映画(もちろん、いわくつき)を紹介しよう!

■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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『ヒットラー蘇生計画 Dr.フレデリックの復讐』
1970年・アメリカ
監督/ブラッド・F・グリンター
出演/ヴェロニカ・レイク、フィル・フィルビンほか

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