火星の隕石「ALH84001」に生物付着? NASAが20年間本気で悩み続ける「生命の痕」
近年、火星探査車「キュリオシティ」をはじめとした本格的な火星調査が開始されたことにより、火星生物の発見は時間の問題と言われることもある。だが、遡ること20年前のちょうど8月、すでにNASAの科学者らは火星から飛来した隕石の中に生物が存在すると突き止めていたというのだ。20年という節目を迎えたこの研究の成果を詳しくみていこう。
■40億年前の「火星生物」の化石
1996年、NASAジョンソン宇宙センターのデイヴィッド・マッケイ博士率いる研究チームが、火星隕石「Allan Hills 84001(ALH84001)」に微生物の化石のらしきものを発見。科学的に有力な証拠も見つかり、当時の科学者らは本気で火星に生物がいると信じざるをえなかった。(小惑星が火星に衝突した際に吹き飛ばされた破片が、月や地球に降り注ぐことが知られている。ALH84001は40億年前に火星で形成され、1万3千年前に南極大陸アランヒルズに飛来したと見積もられている。発見時の重量は1.93kg)
1996年8月6日、権威ある米科学誌「サイエンス」に掲載された研究で、マッケイ博士は、ALH84001が火星の生物を含有している4つの証拠(※)を提示した。その中で最も有力な証拠とされたのが磁鉄鉱結晶(磁性粒子)だ。ALH84001に含まれる磁鉄鉱結晶は、地球上の微生物が形成する物質と酷似しており、当時この物質が生物以外の働きで作られるとは考えられていなかった。
(※)
1) ALH84001に含まれる炭酸塩が生命に適した温度で形成されたこと
2) ALH84001から見つかった有機物は炭素13を比較的少量しか含んでいなくて、生化学反応の痕跡であること
3) 磁性粒子がバクテリア由来であること
4) ALH84001から見つかった奇妙な構造はバクテリアの化石であること

米カーネギー研究所の宇宙生物学者アンドリュー・スティール博士は、マッケイ博士の研究について次のように述懐している。
「複数の証拠を組み合わせたマッケイ博士の方法論は革新的でしたし、議論をより説得力あるものにしました」
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