たった0.0000001グラムで逝く!! 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で死ぬ日本人が急増のなぜ【ググっても出ない毒薬の手帳】

【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第12回 最強毒素テタヌストキシンと破傷風/前編

たった0.0000001グラムで逝く!! 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で死ぬ日本人が急増のなぜ【ググっても出ない毒薬の手帳】の画像1電子顕微鏡で見た破傷風菌 画像は「Wikipedia」より引用

■致死量が少ない毒素、堂々の第1位

 毒には致死量という指標があります。このことは本連載でも何度も取り上げてきましたが、致死量を少ない順にランキングした時、1位に君臨する毒こそ今回紹介する「テタヌストキシン」です。その致死量、なんと約1ng(ナノグラム)/kg(毒素の種類によって多少の誤差はある)。

 ナノグラム――1gが1000mgであることはご存じの通り。その1mgを1000分の1にしたのがμg(マイクログラム)、そのμgをさらに1000分の1にした分量がナノグラムです。もはや目視など不可能な分量です。テタヌストキシンの致死量は、体重1kgあたり1ngですから、約60~100ngで人が死ぬ可能性があるというわけです。これは、部屋を舞うホコリ1粒が(大きくても)数十μgとされていますから、それよりもさらに、さらに、少ない量が体内に入っただけで死ぬ……にわかには信じがたい数値です。


■日本人が発見! ワクチン接種も当たり前だが……!?

 さて、そんな超激猛毒テタヌストキシンですが、実はどこにでもある土の中に潜む嫌気性細菌、「クロストジウム・テタニー(Clostridium tetani)」こと「破傷風菌」によって生産される毒素でもあります。
 
 破傷風菌は1889年、日本に細菌学の基礎を築き、現在も北里大学としてその名を残している北里柴三郎氏によって発見された偏性嫌気性の土壌細菌。嫌気というのは酸素を嫌うという意味で、酸素のない環境で繁殖し、酸素があるときはおとなしくしている(種のような状態で活動不能)という性質ですが、酸素がない状態となるや否や、どんどん毒素を生産し始めます。破傷風菌が何よりも恐ろしいのは、やはり、ほぼどこにでもある土の中に普通に存在しているということでしょう。

たった0.0000001グラムで逝く!! 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で死ぬ日本人が急増のなぜ【ググっても出ない毒薬の手帳】の画像2イメージ画像:「Thinkstock」より

 小さい頃に「破傷風ワクチン」(3種混合ワクチン)を接種したことがある人が大半だと思いますが、そうしたワクチンがなかった頃は、尖った石や錆びた釘が土の中にあって、土いじりをする時にうっかり指先に刺さり、運悪く破傷風菌が入り込んだだけで「もう死ぬしかないじゃない」という、絶望不可避なヤバい状況になったわけです。現在、この破傷風ワクチンは、ほぼすべての日本国民が幼児期に接種するため、理論上は誰も破傷風の脅威におびえる必要はないわけです。

 しかし近年、破傷風で死亡する人数は、2000年前後に十数人、そして2010年以降は年々増えて、今や100人に届きそうな勢いなのです。これは、破傷風ワクチンが効かない恐ろしい破傷風菌が出現したということを意味しているのでしょうか?

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