【うつ病】向精神薬の正しいデータが公表されない日本の闇! 瀬川正仁が見た“自死と投薬治療”

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【うつ病】向精神薬の正しいデータが公表されない日本の闇! 瀬川正仁が見た自死と投薬治療の画像3画像は、Thinkstockより

――それはどうしてでしょうか?

瀬川 日本人の死生観には、仏教が伝来する以前より続く土着信仰と、仏教が混じっているように思います。そうした死生観では、自死者や殺人事件の犠牲者などは成仏できず、地縛霊になるという考え方があるので、そうしたものが果たした役割は大きいのではないかと考えています。

――そうした死生観により、差別的な戒名の他にも実害は生じているのでしょうか?

瀬川 たとえばアパートや賃貸マンションで自死すれば、いわゆる事故物件として扱われ、遺族が大家から損害賠償を求められ、それを裁判所が認定しますから大きな問題だと思います。その額は、大体その部屋の1.5年分の家賃と自死者が住んでいた上下左右の部屋の家賃の10%程度を1年分です。でも現実には法外な額を請求してくる大家もいて、しかも遺族が身内の自死で傷ついているときに請求してくるので、言いなりに支払ってしまうケースも多いと聞きます。

――これまでさまざまな自死予防の対策が行われてきましたが、今後どこを改善していくべきだと思いますか?

瀬川 自死にはさまざまな要因があるので、一つひとつ個別的に対応していくことが重要だと思います。たとえば、経済的な問題に関しては、弁護士さんたちが法改正にかなり力を入れてくれたお陰で、多重債務で自死する人は劇的に少なくなりました。

 先ほどの精神医療に関しては、多剤大量処方の他に、長期的な薬の投与も問題です。長期的な使用により、依存症や脳のサイクルがおかしくなってしまうこともありますから。だから、投薬基準を少なくとも欧米並みに見直し、現在行われている長期にわたる多剤・大量処方はやめるべきだと思います。そのためには薬効も含め、投薬した患者たちの追跡調査が不可欠だと思います。

 また、労働現場に関しては、労働基準法に違反した企業に重いペナルティを科す、過労死者が出た企業は企業名を公表するなどが有効だと考えています。

 さらに、高齢者や貧困者に関してはセーフティネットからこぼれてしまっている人もいますから、年金や生活保護の問題を見直す必要があると思います。

 ただし、初めにもお話しましたが、こうした個別の対策と併せ、日本に溢れている経済効率第一主義という根本的なことを見直すべきです。それがなされないまま、付け焼き刃的な対策を講じても、どこかでまた自死要因となる矛盾が生まれるのではないかと思いますね。
(取材=本多カツヒロ)

瀬川正仁(せがわ・まさひと)
ノンフィクションライター。1978年早稲田大学第一文学部卒業。著書に『老いて男はアジアをめざす』(バジリコ)、『アジアの辺境に学ぶ幸福の質』(亜紀書房)、『教育の豊かさ 学校のチカラ』(岩波書店)など多数。

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