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あの731部隊も人体実験していた!? 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で人が死ぬ仕組み【ググっても出ない毒薬の手帳】

2016.10.03 16:00

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破傷風の発作で苦しむ図。背骨が折れることも　画像は「Wikipedia」より引用

■症状が辛すぎる！治療法はあるのか!?

　　話は戻って、このテタヌストキシンの中毒症状は、毒素が中枢まで移動していく間に徐々に症状が悪化していくのが特徴です。まずは、口をまともに開けることができない麻痺が起こり、次第に嚥下障害（飲み込めない）に至ります。そのため患者は、最初に耳鼻咽喉科にかかる場合が多く、高齢者の場合は老化による症状などと見過ごされたりするので、手遅れになることがあるわけです。

あの731部隊も人体実験していた!? 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で人が死ぬ仕組み【ググっても出ない毒薬の手帳】の画像5

筆者も先日、ちょうど破傷風ワクチンを受けてきた

　治療法は、とにかく早く抗毒素。並行して抗生剤も使いますが、菌が死滅する時にさらに毒素が漏れ出すので中長期の投与と観察が欠かせません。しかし、一端中枢ニューロンと結合してしまった毒素は中和不可能で、対処療法的なものしか行えず、結構な割合で死亡者が出てしまうのです。

　そんなわけで、アウトドア派の人やガーデニングが趣味の人は、いい年になったらとりあえずワクチンを摂取しに行きましょう。そして、深いケガをしたあと麻痺や痙笑など特徴的な症状が出てくるようなら、速やかに病院に行き、ケガの話をして破傷風の可能性を先に潰しておくことが大切といえます。

　せっかく破傷風毒素のことをやったので、次回はさらにその親戚にあたる最凶毒素であり、近年は美容にも使われる「ボツリヌストキシン」に迫ってみようかと思います。

（文＝くられ／シリーズまとめ読みはコチラ）

●くられ

あの731部隊も人体実験していた!? 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で人が死ぬ仕組み【ググっても出ない毒薬の手帳】の画像6

　添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた新刊『悪魔が教える願いが叶う毒と薬』（三才ブックス）が好評発売中。

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