ご自身の電子書籍レーベル「ROADSIDE LIBRARY」から第1弾写真集『ROADSIDE LIBRARY vol.001 秘宝館』(以下、『秘宝館』)をリリースした都築響一さん。今年6月から8月にかけて渋谷のアツコバルーで開催され1万人近くの観覧者数を記録し大盛況だった展覧会『神は局部に宿る – 都築響一presents エロトピア・ジャパン』に合わせて刊行されたこの写真集は総ページ数777、ファイルサイズが1.8ギガバイトというギガボリューム。どのような経緯でこの本が出来上がったのか? 都築さんご本人にお話を伺った。
■秘宝館を「発見」し取材を続けた20年の集大成
――『ROADSIDE LIBRARY vol.001 秘宝館』を拝見して最初に驚いたのは777ページというボリュームと1.8Gバイトというファイルサイズです。この厚み……ではなく重みと申しますか…。
都築 ダウンロードが大変、みたいな(笑)。
――秘宝館は足掛け20年にわたって取材をしてこられたんですよね?
都築 1990年代の始めからだからそれくらいになりますね。「週刊SPA!」で連載していた「珍日本紀行」の取材の時に偶然出会ったので。

都築響一/撮影・新納翔
――秘宝館そのものの存在はすでにご存知だったのですか?
都築 名前は知っていましたけど中を見たことはなかったですから、僕としては「発見」っていう感じでしたね。すでに寂れていたし、入ってみるまでこんなに面白いものだとはわからなかった。
――別の取材対象を見に行く途中で見つけた感じなんでしょうか?
都築 「珍日本紀行」で三重県で何かやろうっていうのがあって、いろいろ走り回っているうちに「そういえば秘宝館っていうのがあったな、一度見てみるか」っていう感じで、本当に何の気なしに行ったってことですね。
――Windows 95の前ですから、ネットに情報なんてなかった頃ですよね。
都築 全然前。みんなが普通にブログとかやっていない時代だから、ネットで検索とかがまずはできない。それに「珍スポットなんて言葉すらない時代で、資料が全然ない。だから、ひたすら走るしかないっていうなかでああいう物に出会えたっていうのは、僕としては1つのターニングポイントっていう感じがありましたね。引き寄せられたというか。