奇習! ゲロ飲み結婚 ― 南米に移住した日系人社会に残る奇妙な儀式

奇習! ゲロ飲み結婚 ― 南米に移住した日系人社会に残る奇妙な儀式の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より

【日本奇習紀行シリーズ】 南米

 いわゆる大航海時代にその支配圏および交易圏を急速に拡大した西欧諸国は、世界各地に自国の文化を持ち込み、それが後に現地の人々によって定着したり、また時として何とも摩訶不思議な形で発展しつつ、幾世代にもわたって語り継がれる現象を生むこととなった。しかし実は、我が国にもそうした「輸出された習慣」というのは、思いのほか数多く存在している。その習慣の1つが、一部の日系移民によって中南米各地に伝わったという「ゲロ飲み婚礼」の儀式だ。

「新婦、新郎は、吐しゃ物を飲みます。愛の契りです。そういう儀式。難しいことないです、すべては愛のため」

 今回、その貴重な来日期間中に多忙なスケジュールを縫う形で我々の取材に応じてくれたのは、現在、ブラジルやペルーといった南米諸国と、日本との間で主に電化製品の貿易を手がけているという日系移民3世のカズ・ロベルト・ワタナベさん(仮名・63)。カズさんの話によると、彼が生まれ育ったブラジル南部のとある地域を含め、中南米諸国の一部地域では、日本発祥だというその不可思議な習慣が今なお続いているという。

「入れ物に吐く。酒を飲んで吐く。集めて、飲む。それだけね。みんなやった。私もやった。だから今でも奥さん優しい。愛してる」

 結婚が決まった若い男女は、まずその挙式の際に日本で言うところの「どぶろく」のような濁り酒をしこたま飲み、泥酔状態にさせられるという。その上で、悪酔いした状態でゲロを吐かせられ、それを素焼きの土器である「かわらけ」のよなものに注ぎ入れる。そして、シャーマン的な役割を担う古老の前へと連れ出されると、そのお互いが吐いたゲロを交換し、一気に飲み干すのだという。

「儀式は3日前はじまる。3日ずっと、村の人、集まって、酒を飲ます。結婚する人に。歌も歌う。お祈りする。気持ち悪くなると吐く。吐いても飲む。それ繰り返す。吐いたやつを儀式の日に飲む。2人、愛を誓います」

 カズさんの話をまとめると、どうやらそうしたお互いの汚物を飲み干すことで、相手への深い愛情と誠実な姿勢を確認し合うということのようであるが、そもそもなぜ、このような風習が生まれ、遠く離れた異国の地で定着したのかといった点については謎。なぜならば、まったく同じ内容を持つ習慣は、現在の日本においては確認されていないからだ。

「私のおばあさんやった。日本でやったと聞いた。おじいさんもやった。だから私たちもやった。これからもやる。みんなで飲む。愛を誓う。永遠にしあわせ」

 2人の門出に際して、遠く海を隔てた日本の方角を拝みながら、お互いのゲロを飲み合うという新郎新婦たち。仮に、現代の日本に住む我々が「日本ではそのような風習はない」と伝えてしまったとしたら、その心中は、一体如何なるものなのであろうか。

(取材・文=戸叶和男)

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

奇習! ゲロ飲み結婚 ― 南米に移住した日系人社会に残る奇妙な儀式のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル