【ノーベル賞】不食人間とはオートファジーが超活発なニュータイプか!? 科学ライターが解説!

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「人間の皮膚や血管はコラーゲンでできており、そのコラーゲンの合成に必要不可欠なものがビタミンCです。これがなければ、皮膚も血管も猛スピードで朽ち果てていく。その結果、歯や爪がボロボロと抜け落ち、目からは出血、体中の皮膚も剥がれます。やがて、映画に登場するゾンビのような姿になり、最後は死ぬのです。これこそ、大航海時代に船乗りを苦しめた壊血症であり、レモンを食べると発症しないことがわかるまで、まったくお手上げの病気だったのです。治療薬となるビタミンの発見は、さらに数百年後のことです」

「ところが、ブレサリアンたちは壊血症になりません。人間は体内でビタミンCを合成できないのだから、壊血症になるはずなのに、ならない」

――それは、実に奇妙ですね。

川口  「ブレサリアンが究極のオートファジー、つまり完全なたんぱく質のリサイクルが可能な、いわば特殊生物であり、かつβ3アドレナリン受容体に異常があるために中性脂肪の分解が抑制され、恐ろしく低い代謝エネルギーで生きることができる存在と仮定しましょう。しかし、それでもビタミンCのように体内で合成できない物質や、脳の活動に必要となるブドウ糖、さらに毎日自然に蒸散する1~2リットルの水分を補わずに生きていくことができるとは考えられません」

「ブレサリアンたちは、エーテル・太陽・空気などからエネルギーを直接吸収しているのだと主張しています。まるで植物のようです。しかし、植物も水がなければ枯れるし、太陽光を吸収するために巨大な葉を生み出し、それでも生えた場所から移動するエネルギーまでは作り出せない。根が生えたら、そこから動けないのです。光合成の生み出すエネルギーとは、その程度のものなのです。だから彼らの説明は間違っている。そんなことはエネルギー収支上、起こらない」


■不食人間は“深海人間”!?

――では、彼らの存在は嘘、なのでしょうか?

川口  「考えられないことが現実に起きているのならば、可能性は2つです。トリックか、それとも未知の物理現象か。トリックとするのはあまりに安易なので、仮に未知の現象だとしましょう」

「実は、ブレサリアンのように極度の飢餓状態にあっても命をつなぐことができる生き物がいます。深海生物です。水族館のダイオウグソクムシが6年以上も何も食べずに生きていたとして話題になったことも記憶に新しいですが、彼らと同様の代謝がブレサリアンに備わっているとしたら、長期にわたる絶食でも生きていられるでしょう」

――それは、まさに深海人間! みたいな感じですかね……。

川口  「今までの生物学は、いわば足し算の研究でした。細胞がいかに増えるのか、そして、いかに生物が増えるのかを調べてきた。オートファジーは反対に、引き算の研究です。いかにエネルギー支出を抑え、細胞が数を減らしても生き延びることができるかを科学する。この“引き算の生物学”は、未知の分野なのです」

「人間の脳神経細胞(=シナプス)は、成長するにつれて数が増えていくと考えられていました。体が成長し、知識が増えるのだから直観的にそうだろうと思うでしょう。しかし実際は違います。私たちのシナプスは、生まれた時が2000億個で最大、成長につれて猛スピードで刈り込まれて行く。そして最終的には、およそ半分の1000億個で安定するのです。おたまじゃくしの尻尾がカエルになる時に消滅するのは、細胞が死に、体に吸収されるからです。人間の胎児の手にある水かきも、同じように吸収されて消える」

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