「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像1エリザベス・スマート 画像は「CBS News」より引用

■悲劇は、ある日突然に

 2002年6月5日、深夜2時――14歳のエリザベス・スマートが、米ユタ州ソルトレイクシティの自宅寝室から誘拐された。エリザベスは9歳の妹メリーと同じ部屋で寝ていたが、犯人はエリザベスだけを狙い、ナイフで脅して連れ出した。横で寝ていたメリー・キャサリンはその一部始終を見ていたが、恐怖のあまり動けなくなり、両親の寝室へと向かい「エリザベスが知らない男に連れ去られた」と告げたのはしばらく経ってからだった。

 姉妹の母親ロイスは床に座り込むメリーに寄り添い、父親エドワードは「悪い夢でも見たんじゃないか」と思いつつ家の中を見回ることに。キッチンに水でも飲みに向かったのではないかとも考えたが、そうではない。ほかのどの部屋にもエリザベスはいなかった。そして明かりをつけると、キッチンの網戸がナイフで引き裂かれている。呆然とする両親にメリーは、「見つけられないよ。だってあの男が連れて行っちゃったんだから」と泣いた。両親はすぐに警察に通報。混乱するとともに、エリザベスが今どんな状況に置かれているのかと考えると気が狂いそうになっていた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像2警察の聴取を受けるメリー 画像は「YouTube」より引用

 警察はすぐに駆けつけ、自宅とその周辺を捜索した。何者かがキッチンの網戸を破って家に侵入したことはほぼ間違いなく、犯人は細身の体型だと推測する。キッチンの窓は高い位置にあったが、外に置いてある椅子を背中合わせにして固定し、よじ登って侵入したようだった。家にはアラームシステムもあったが、6人の子どもたちがキッチンに水を飲みに来るなど家の中を移動するたびにアラームが鳴ってしまうため、作動させていなかった。犯人にとっては実に好都合だったというわけだ。

 警察は、唯一の目撃者であるメリーに事情聴取を行った。敬虔なモルモン教徒の家庭で育つ子どもたちはみな素直で、ウソをつかず、信頼できるものだと刑事たちは期待した。メリーは男が「静かにしろ。大きな声を出したら撃つぞ。でも静かにしていれば危害は加えない」と言ったと証言。「聞いたことがある声か?」との質問には「イエス」と答えたが、どこで聞いた声だったかはどうしても思い出せなかった。

 そして警察は、この手の児童誘拐事件は性犯罪目的であることがほとんどであり、なおかつエリザベスは犯人の好みだったためにターゲットに選ばれたのだろうと睨んだ。


■事件に群がるメディア

 前述のようにスマート家は敬虔なモルモン教徒であり、両親はエリザベスに対して妹や弟たちの良き手本として神への信仰心を強く持つよう教えていた。そしてエリザベスは、多くのアメリカ人が理想とする“心の美しい”純粋な娘へと成長していた。趣味は乗馬とハープ演奏。友だちも多く、家族との仲も良く、不純異性交際やインターネットやチャットにハマることもなかった。そのため警察は、この年の女子にありがちな家出や、ボーイフレンドやネットで知り合った男との駆け落ちの線はないと早々に判断した。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像3カメラの前で訴えるエドワード 画像は「YouTube」より引用

 朝になり、警察はエリザベスが誘拐されたことを発表する。エドワードはマスコミのカメラを通して、犯人に向かって「娘を返して下さい」と訴えた。目撃情報を得るため、彼は娘の写真や映像も提供。メディアはこれを流し、全米が「今時こんな純粋で清純な女の子がいたのか」と驚くとともに「誘拐され、さぞかし怖い思いをしているだろう」と同情した。

 誘拐事件発生後、被害者の生存率は時間を追うごとに下がるといわれている。24時間以内に生きて発見できる確率は70%、48時間以内なら50%、72時間以内なら30%という統計もある。そのためエドワードは、地域住民たちに捜索を手伝って欲しいと呼びかけた。この呼びかけには1日で1,800人もの住民が応じ、捜査ボランティアとして登録した。ここまでのサポートがあるなら、エリザベスは早く発見できるのではないか――。期待は高まった。

 その後エドワードは、「子どもにとって一番安全であるはずの寝室で誘拐を阻止できなかった」自分を責め、倒れて病院に運ばれたが、神への信仰心をより一層強めることで乗り切ろうと踏ん張った。しかし事件発生から6日後、エドワード本人と、誘拐発生直後から惜しみなく協力してきたエドワードの兄弟がFBIに呼ばれ、ポリグラフテストを受けるよう促される。テストは休み時間を挟みながら7~8時間も続き、ほとんど寝ていなかった彼らにとって極めて苦痛だった。だが、エリザベスが今置かれている状況を考え「あの子の苦しみよりもマシなんだから」と歯を食いしばり、なんとか乗り切ったという。

 FBIの捜査は形式的なものだったが、タブロイドは「家族に容疑者がいる」「金銭問題を抱えていた」などと書き立てた。家族はこれらの報道に深く傷ついたが、怒るよりもエリザベスの捜索にエネルギーを使いたいとぐっと堪えた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像4エリザベス・スマート 画像は「CBS News」より引用

■容疑者が逮捕されるが……!

 警察はスマート家で働いたことがある配管工や庭師などをリストアップし、チェックしていった。FBIのBAU(行動分析課)も犯人の特徴を割り出していく。そんな中、ハンディマン(便利屋)のリチャード・リシーという前科のある男が捜査線に浮上する。リチャードは「盗みから逃走を図る際に警察官を殺そうとした」ことで有罪となり服役。保護観察期間中だったのだ。すぐにリチャードの暮らすトレーラーハウスに警察が踏み込むと、スマート家から盗んだ物品が見つかった。警察は「夜中に盗みに入ったが現場をエリザベスに見られ、もしも通報されて刑務所に戻ることになったら、もう2度と出られないかもしれないと恐れて殺した」という仮説を立て、逮捕した。そしてリチャードは、容疑者としてニュースでも大々的に報じられた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像5リチャード・リシー 画像は「YouTube」より引用

 しかし、このニュースを目にしたメリーは、「あれ? リチャードだよね? なんで出てるの? エリザベスを連れ去ったのはリチャードじゃないよ」と発言。リチャードも警察の尋問に対し「絶対にやってない」「オレじゃない」と否定し続けた。

 そして、エリザベスが誘拐されてから54日後となる6月24日、深夜2時半――。再び事件が起きる。自宅の寝室で寝ていたエリザベスの従姉妹が誘拐されそうになったのだ。犯人はキッチンの網戸をナイフで引き破って侵入していた。キッチンの窓は高い位置にあったが、外に置いてある椅子を背中合わせにして固定したものが下に置いてあり、この椅子を使いよじ登ったものと見られた。そう、エリザベスが誘拐されたときとまったく同じ手口だったのだ。エドワードたちは、エリザベスを誘拐した犯人と同一人物の仕業に違いない、真犯人がリチャードではないことを確信した。しかし、リチャードを容疑者とみなし尋問していた警察は、この従姉妹の誘拐未遂を「近所の子どもたちの悪質ないたずらだ」と軽く流してしまった。

 さらに8月3日、警察が予期してもいなかったことが起きる。犯行を否定し続けていたリチャードが倒れ、意識不明になってしまったのだ。リチャードは病院に救急搬送されたが、脳死と判定。数日後に亡くなった。しかし、死んでからも警察はリチャードを第一容疑者と見なし、彼の妻を遺体と面会させなかった。エリザベスの誘拐発生から90日後、リチャードの急死によって警察の捜査は行き詰まった。しかし、エリザベスの家族は「良い情報もないけど悪い情報もない。生きている可能性は高い」と信じ続けていた。

 その頃、ソルトレイクシティでは「奇妙な3人組」の目撃情報が増えていた。まるでイエス・キリストのように、グレーの長いロープのような服を着て頭に布をかぶった男と、似たような装いの女性2人がともに行動している姿を見た、というものである。男は長い髭を生やしており、女性のうち1人は若い様子だったが目しか見えなかった。ビュッフェスタイルのファミリーレストランで、大量の野菜を食べていたという目撃情報もあった。


■奇妙な3人組の正体

 誘拐された夜、エリザベスはナイフを突きつけられながら「お前は邪悪な存在だ」と繰り返し言われ、「もしも逃げたらお前の両親を殺す」と脅されていた。そして、家の裏手にある広大なキャニオン公園を奥へ奥へと歩かされた。そして数時間歩くと、カモフラージュされた犯人の隠れ家に到着。そこで着用していた赤いパジャマを燃やされ、隠れ家である地下壕の中に入るようにと命じられた。そして「妻になる儀式」として強姦された。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像6目撃された3人の姿 画像は「YouTube」より引用

 犯人の男にはすでに妻がおり、エリザベスは2人目の妻になったのだと告げられた。そして「オーガスティーン」という新しい名前を与えられ、聖書に登場するガウンのような服を与えられた。その服とベールを顔にかけさせられ、3人で街に繰り出すこともあった。そう、目撃されていた奇妙な3人組は、まさしくエリザベスと犯人、そして共謀者である犯人の妻だったのだ。3人は家々を周り「空気をクレンジングさせてほしい」と申し出ては、その報酬として金を手に入れていた。白いベールをかけているため、誰もエリザベスだとは気がつかなったが、かなり若いことはわかったそうで、多くの人が違和感を感じていたという。「男から逃げたいなら手伝うよ」と声をかけた女性もいたが、エリザベスは無言だったという。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像7エリザベス・スマート 画像は「CBS News」より引用

■すべてを思い出した妹

 誰もが「エリザベスを見つけるのはもう無理なのではないか」と感じ始めていた、誘拐から129日後となる10月12日――。メリーが突然、「エリザベスを誘拐した男が誰だかわかった!」と言い出した。そして両親が尋ねると、彼女は「エマニュエルが犯人だ」と訴える。このエマニュエルという男は、ホームレスシェルターを渡り歩く自称宣教師の怪しい男であり、ハンディマンとしても小銭を稼いでいた。信仰心の厚いスマート家は、エマニュエルがホームレスだと知り、気の毒に思って仕事を頼んだことがある。つまり、スマート家に出入りしていた過去があるのだ。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像8証言するメリー 画像は「YouTube」より引用

 しかし、エマニュエルは子どもたちが学校にいる時間帯に仕事をしていたため、子どもたちの帰宅後、ほとんどの場合は仕事を終えて帰っている。子どもたちは実際、毎日ほんの5分ほどしか会っていなかった。そこでエドワードは、メリーに「どうして突然思いだしたんだい?」と質問。するとメリーは、「ギネスブックを見ていたら、筋肉もりもりの女の人の写真があって、そしたら、あっ、エマニュエルだったって思い出したの」と説明した。疑い半分ながらも、エドワードは「もしかしたら神のお導きかもしれない」と期待し、警察に連絡を入れた。

 しかし、まだリチャードにこだわり続けていた警察は「エマニュエルが逃亡するかもしれないから」との理由で、情報を非公開にする決定を下す。メリーにも「本当にエマニュエルだったのかね?」と強い口調でしつこく聞いたが、彼女は「そうだったと思う」と萎縮しながら返した。しかし、家族の前でメリーは「エマニュエルに間違いない」と強く主張し続けていた。

 そして、このメリーの記憶は正しかった。エリザベスを誘拐した男は、エマニュエルと名乗っていたブライアン・デビッド・ミッチェルだったのである。


■ブライアンがエマニュエルへと変貌を遂げるまで

 エマニュエルことブライアンは、敬虔なモルモン教徒の中間子として生まれ育った。父親は短気な男で、彼はひどく折檻されながら育った。ブライアンは幼少期からセックスに対して異常に興味を示す子どもに育ち、お医者さんごっこと称しては同年代の子どもたちの性器をいじりまくっていた。13歳になるとドラッグやアルコールにも手を出すようになり、一家の恥として扱われるようになった。そして高校入学の初日、自分よりもかなり年下の子に性的いたずらをしているところを見つかり、少年院に収監された。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像9エマニュエルとワンダ 画像は「YouTube」より引用

 ブライアンの妻ワンダ・バーゼイは、幼い頃から人見知りが酷い子だったという。父親は出張ばかりで家にはおらず、母親にべったりとくっついていた。この依存体質は成長とともに悪化し、結婚後は夫に依存するように。最初の結婚は20年で破局を迎えたが、依存対象を失い精神的に不安定になったワンダは、やがてカウンセリングを受けるように。そこでブライアンと出会い、18カ月後に2人は結婚した。

 夫婦になった2人は、まず宗教にのめり込んだ。しかしブライアンは教会の教えに満足できなくなり、「自分こそが主だ」として複数の妻を娶ることができる存在だと言い始めた。そしてワンダの連れ子である娘を「悪魔」だと考えるようになり、彼女が大事にしていたペットのウサギを焼いて「鶏肉だ」と嘘をついて食べさせたりした。さらに、その娘を繰り返し強姦した。娘は止めるよう訴えたが、ワンダは「意味があることだから」と続けた。そのうちブライアンとワンダは、2人でドラッグをして興奮しながら「天使が降臨した」と周囲に漏らすようになった。そして、「神に選ばれた自分たちはサバイバル・スキルを身につけなければならない」という言葉を残して町を去った。戻ってきたとき、彼らは例の格好をしており、ブライアンはエマニュエルと、ワンダはヘクサバと名乗るようになっていた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像10逮捕されたエマニュエルとワンダ 画像は「DAILY NEWS」より引用

■焦る家族、そしてついに重大情報が

 さて、スマート家は「娘が真犯人はエマニュエルだと言っている」「あの男を探して欲しい」と訴え続けたが、5週間を過ぎても警察が動く様子はなく、憤りを感じていた。エドワードは、記憶が消えてしまいそうだとしてエマニュエルの似顔絵をスケッチした。

 実は、警察が重い腰を上げてエマニュエルの捜査に乗り出す前、エリザベスは長距離バスに乗せられてサザン・カリフォルニア・サンディエゴの小さな町、レイクサイドへと移動させれてしまった。そこに住む人々は、互いに個性を尊重する自由な土地柄だった。イスラム教徒も暮らしているため、妙な格好をしている3人が溶け込んで暮らすには最適だったのだ。なお、レイクサイドでも3人はホームレスとして林の中に住んでいた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像11似顔絵スケッチ 画像は「YouTube」より引用

 エリザベスが誘拐されてから5カ月が過ぎ、新年を迎えた。家族は、もうこれ以上警察に任せられないという結論に達し、似顔絵スケッチを手に「エマニュエルという男に心当たりがないか?」と記者会見を開く。そして、この会見をニュースで見たエマニュエルことブライアンの妹は「兄に違いない」と確信。すぐに警察に電話を入れ「匿名でお願いしたんだけど。エマニュエルという男を知っているわ。ブライアン・デイビッド・ミッチェルよ」と伝えた。妹の夫も「信じたくはないけど、そういうことをしても驚かないね。山の中の壕に暮らしているらしいけど、どこだかは家族にも教えてくれないんだ。でも、彼が犯人だとしたらエリザベスはまだ生きているよ」と証言した。

 さらに、エリザベス誘拐事件の助けになりたいと、『アメリカンズ・モスト・ウォンテッド』という重犯罪容疑者の情報提供を呼びかける人気番組も立ち上がり、エマニュエルの目撃情報を求めた。この番組では、エマニュエル本人の写真も公開され、「キリストのような格好で、長いひげを生やしている」と伝えた。

 実はこの時点において、サンディエゴ警察はエマニュエルの身柄を拘束していた。地元の教会の窓を壊し、不法侵入を試みていたのだ。しかし、サンディエゴ警察はソルトレイク警察がブライアンを探していることを知らなかった。そのため、3日後に釈放してしまったのだ。そして釈放されたエマニュエルは、サンディエゴから移動することを決意。3人は再び長距離バスに乗った。エリザベスはグレイヘアーのかつらをかぶり、サングラスをかけるように言われ、人に聞かれたら「目の手術を受けたばかりで」と説明するように命じられていた。そして3人は、ソルトレイクシティの郊外へと戻ってきた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像12逮捕されたエマニュエル 画像は「CBS News」より引用

 誘拐されてから278日目となる3月12日、『アメリカンズ・モスト・ウォンテッド』の視聴者の女性が、街で3人の姿を見かけてエマニュエルたちであることを確信。すぐに警察に通報したことがきっかけとなり、ついにエリザベスが発見され、エマニュエルも逮捕されたた。しかし、なぜかエリザベスは「私はエリザベス・スマートではない」と言う。涙を流しながら「違う」と言う。そして別々のパトカーに乗せられると「あの2人はどうなってしまうの?」と泣きながら心配している。警察から連絡を受けたエドワードは、エリザベスの姿を見て安堵すると同時に違和感を感じ、思わず「本当に、エリザベスなのかい?」と涙ながらに聞いてしまったという。すると、ようやくエリザベスは泣きながら「そうよ、パパ」と明かし、2人は抱き合って泣いた。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像13ブッシュ元大統領と面会したエリザベスと母親 画像は「CBS News」より引用

■明らかになる事件の全貌、そしてエリザベスのその後

 その後のスマート家は、全米の注目を集めるようになり、捜査に多大なる貢献をしてきた伯父や両親は本を執筆。伯父は警察の怠慢さを訴え、両親はトラウマに苦しむ被害者や家族の姿について綴った。両親は、「もう二度と自分たちのような被害者がでないように」と誘拐事件を予防するためのチャリティー団体も立ち上げた。エリザベス自身も両親の活動をサポートし、公の場に出て「チャイルド・プロテクション」のシンボル的存在となっている。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像14エリザベス・スマート 画像は「CBS News」より引用

 エリザベスは、エマニュエルとワンダに「言うことを聞かなければ、お前の親を殺す」と脅され、彼らに従い続けていたとのこと。頭の中はめちゃくちゃだったが、神に祈り続け、信仰心が彼女を支えたのだと見られている。カウンセリングを受けた後、エリザベスは復学。大好きなハープを究めるため大学にも進学した。2009年には、モルモン教の宣教活動のためパリに滞在。2011年に帰国し、2012年にはパリのモルモン教会で知り合ったスコットランド人の男性と結婚、2015年2月には娘を出産。現在は、幸せな家庭を築き上げている。

 そして2013年10月、エリザベスは事件について著した本『My Story』を出版した。それまでインタビューではNGとしていた強姦についても包み隠さず書いた。「4人に1人の少女が、6人に1人の少年が性的虐待を受けているという事実を聞いて、被害を受けた子どもたちに“辛いのはあなただけじゃないんだよ。わたしもあなたの痛みが分かるよ”と伝えたくて」一念発起したのだ。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像15My Story』(Griffin)

 本によると、誘拐されたときは「現実的なことではなかったために、ひどく混乱していた」とのこと。また、キャニオン公園を進む途中で「もしも強姦して殺すのなら、ここでしてくれる? そしたら両親が遺体を見つけてくれるから」と頼み込む彼女に対して、エマニュエルは「いや、まだ殺しはしないから」と笑顔で言い放ったという。そして、早い段階で誘拐犯が「両親が助けてあげたホームレスのエマニュエルであることに気づいていた」ことも記されている。ほかにも「地下壕にたどり着くとワンダが出て来て強いハグをし、『私が指示すること以外はしない、いいわね?』と言った」「服を脱ぐよう指示され、結婚のセレモニーが始まり、強姦された。『叫んだら殺す。ガムテープを貼るぞ』と脅された」「涙を流し、私と同じく誘拐・強姦されて殺された子たちのところへ行きたいと思った。天国に逝かせて下さいと泣いた」など、事件の真相が生々しく綴られている。

 死んだ方がマシだと思ったエリザベスだが、殺されなかった。チェーンで木に縛り付けられ、毎日エマニュエルからいかに自分が素晴らしいか延々と聞かされ、複数回強姦され、「私の宗教だから」と強引に酒を飲まされ、ドラッグもさせられた。「悪を感じないとピュアになれない」「クレンジングしないと私の真の妻になれない」と言われた。「嘔吐し、気絶し、目が覚めると髪がゲロでベトベトだった」とも書いている。それでも彼女は、絶望の中にありながらも神に祈りを捧げるうちに「きっと生き延びて、いつか家族のもとに帰ろう」と思うようになったのだという。

 この本でエリザベスは、「同い年の従姉妹がいることを話してしまい、エマニュエルが“次の妻にしよう”と誘拐しに行った。しかし未遂に終わった」とも告白している。警察は大きなミスを犯していたのだ。エリザベスは、この誘拐未遂事件後からエマニュエルの「逃げたら殺す」「家族も殺す」という言葉を強く信じるようになったという。だから、街に出ても逃げたり、助けを求めることはできなかったと本には綴られている。

「エリザベス・スマート誘拐事件」清く純真な少女を拉致・監禁・ヤク漬け・暴行! 全米を震撼させた全貌!の画像16エリザベス・スマート 画像は「INQUISITR」より引用

■信仰が悪魔に打ち勝った

 エリザベスの夫は誘拐事件のことを知らず、彼女から初めて聞いたときにショックを覚えたという。事件にではなく、悲惨な事件の被害者だった彼女が、これほど明るく美しい心を持ち続けていたからだ。彼女は、事件当時もその後も、自分の支えとなったのは神と家族の存在だったと振り返る。神への信仰心と家族への愛が、エマニュエルという悪魔に勝利したのである。

 エマニュエルは、裁判中に歌ったり攻撃的になったりと非協力的で、担当する弁護士が何度も変わった。ワンダも情緒不安定な状態が続いた。そして2人は刑務所の精神病棟に拘束され、責任能力の有無を確かめるために精神鑑定を繰り返し受けた。結果、責任能力を有すると判断され、ワンダは2009年に禁錮15年、エマニュエルは2011年に終身刑判決を受けた。エマニュエルは現在、アリゾナ州ツーソンの州立刑務所に収容されており、生涯をここで過ごすことになっている。

参考:「U.S. News」、ほか

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My Story

壮絶誘拐事件の真実

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