「ウンコから火薬ができる」は本当だった! 糞尿を燃やした藁と混ぜて、重ねて… 驚異の細菌パワー!! 【ググっても出ない毒薬の手帳】

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イメージ画像:「Thinkstock」より

■細菌パワーは火薬も生み出す!

 さて、話を硝石に戻しましょう。一体、硝石はどのようにして土の中で生まれるのでしょうか?

 これには、実に巧妙なメカニズムが秘められていたりします。まず、ウンコや尿、つまり屎尿には大量の窒素分が含まれています。それらの窒素分は、空気や水で分解してアンモニアになるうえ、さらにそうしたものを分解するバクテリアによって、すさまじい量のアンモニアが発生します。いわゆる公衆便所の、目にしみるあの臭さです。

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硝酸カリウムの結晶
画像は、「Wikipedia」より引用

 そのアンモニアを、火薬の主原料たる硝石に変えるのは土中細菌の働きです。土の中には信じられないほど多彩な細菌がいます。土=細菌の塊と考えてもよいくらい、土の中にはさまざまな化合物を食い物にする細菌が存在しています。

 アンモニアは水に溶けやすい気体で、水中ではアンモニウムイオンという形になります。このアンモニウムイオンを食う細菌がいます。アンモニウムを酸化して亜硝酸に変え、その利ざやのエネルギーを活動に使っているわけです。さらにその亜硝酸を硝酸に変える細菌もおり、酸素が多い環境であればより反応も進みます。

 さらに土の中には、落ち葉などの植物由来の分解物も大量に混ざり込んでいます。植物は極めてカリウムの豊富な生き物なので、その枯れたものが土に還るときにカリウムイオンが放出されます。カリウムイオンが豊富な場所に硝酸イオンがあると、硝酸カリウムとなります。硝酸カリウムはあまり水に溶けない性質があり、結晶化しやすい性質を持ちます。

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 まとめると、屎尿を中途半端に燃やした藁と混合して、さらにそれを重ねて何層にもして、乾燥したところに露出した面を作ると、硝石が沸いてくる硝石畑ができあがるのです。

 しかし、効率も悪いうえ悪臭も凄まじいので、現在はこのような方法で硝酸塩は作られていません。代わりに、そのメカニズムを細菌に任せるのではなく触媒を使うことで工業的に生産されています。ドイツの天才科学者で、受験生を今も苦しめることで有名なフリッツ・ハーバーの発見によって、窒素から硝酸が作られているのです。もちろん、硝酸はガンパウダー向けよりも窒素肥料(化学肥料)としての需要のほうが膨大なので、火薬用途はおまけ程度。それにしても、窒素は空気の7割を占める成分ですから、空気から火薬が作れることを見出したともいえるわけで、まさにノーベル賞に値する偉大な発明だったといえるわけです。

(文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ


●くられ

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 添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた新刊『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』(三才ブックス)が好評発売中。
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