奇習! 指の合図で肉体を貪りあう ― 中部地方に実在した覆面姿の全裸男女が集う十五夜

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奇習! 指の合図で肉体を貪りあう ― 中部地方に実在した覆面姿の全裸男女が集う十五夜の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より


【日本奇習紀行シリーズ】 中部地方  

 最近では婚活パーティなどもすっかり定着し、生涯の伴侶を求める妙齢の男女たちで大いなる賑わいを見せているが、かつて中部地方のとある地域においては、なんとも奇妙な“お見合い”の習慣が広く親しまれていたという。


「なにせお互いに顔も見えないわけでね、そこから“アタリ”を引くのは至難の業ですよ(苦笑)」


 かつて自身も参加したというその奇妙な“お見合い”の習慣についてそう語るのは、現在、愛知県内で暮らす元自営業・横山良蔵さん(仮名・78)。横山さんによると、かつて愛知県北部から岐阜県南部にかけての一部地域には、1年に1度、結婚相手を見つけるために近隣の村々から若い男女が集う奇妙な祭事が行われていたのだという。


「毎年ね、九月の十五夜の日になると、あちらこちらから若い男女が集まってくるわけです。場所は毎年変わるんですけどもね。それで、一箇所に集まった男と女は、会場というか、そういう場所に入るときに、世話役から頭巾をかぶせられましてね。頭巾と言ってもね、口と鼻のところにしか穴が開いてないから、まったく前が見えないようなやつでして…とにかくそれをかぶせられてると。そこから始まるんです」
 

 村の寄合所や村はずれの寺など、その年によって開催地は変わるものの、“お見合い会場”に集められ、頭巾によって顔の大半を隠された男女は、案内役となっている古老の掛け声と共に、まず一斉に衣服を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿になるのだという。そして、太鼓の音が聞こえると、それを合図に手探りだけで周囲の異性をみつけ、その肉体をお互いにまさぐり合い、フィーリングが合えば、その場で性行為に入るという。ただし、その際に声は一切発してはならず、あくまで“手探り”だけで相手を見極めるのだそうだ。


「問題はね、声を出しちゃいけないから、どうやってお互いの意思を確かめるかなんですけどもね、それは暗黙の決まりがありましてね。もし相手とそういうことになってもいいと思ったら、女が男の差し出した手の中に、自分の人差し指だけを入れて、握らせるんです。男の方もそれでいいと思ったら、反対側の手を添えて握り返す…そういうやりとりをするんですよ」


 無言でお互いの肉体を貪りあい、指の合図でその意思を確認し、合意に達した場合はその場でセックスをする。その後、男性が見事、射精に漕ぎ着けられれば、婚約が成立し、後日、正式に挙式を執り行う手筈となっていたのだという。しかし、その相手の素顔も名前も明かされることはなく、お互いが本当の意味で相手と初対面するのは、結婚式の当日なのだそうだ。


「まあ、そういうことですからね、行き遅れになる女もいなければ、嫁の来てがない男もほとんどいなかったように思いますよ。そもそも、見た目の良し悪しが、そのまま結婚してからの幸不幸につながるわけではないですからね」


 これは日本の男女に限ったことではないが、こと恋愛というと、どうしても容姿の優れた男女ばかりが花形となってしまい、逆に容姿に恵まれない人というのは、それが本質的な意味で結婚相手としての向き不向きを決めるものではないにもかかわらず、寂しい恋愛事情を送りがちだ。そうした意味で言えば、このなんとも奇妙な覆面見合いの風習、誰もがある程度平等に結婚のチャンスを与えられるという、意外と理にかなったシステムであったと言えるのかもしれない。
(取材・文/戸叶和男)

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