食べると記憶が消える貝がある! 貝1つで記憶障害、2つで死亡… 貝毒「ドウモイ酸」の恐怖とは?【ググっても出ない毒薬の手帳】

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1130accid_02.jpg赤潮「Wikipedia」より引用

 ドウモイ酸は、アミノ酸ですが、特定環境で何故か水に溶けにくくなり血液脳関門(血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構)を突破しやすく変化します。つまり、消化器から吸収され血中に出ると、脳にまで届いてしまうのです。いったん脳に侵入すると、ドウモイ酸は脳内のイオンチャネル型グルタミン酸受容体に結合し、離れなくなります。

 その結果、神経細胞が死に、海馬、視床、扁桃体細胞に壊死が起こります。海馬は特に人間の記憶に関わる根幹部分なので、その部分が死ぬということは本から目次とページ数が失われてしまうようなもので、情報の引き出しが困難になることを意味します。それで、極悪な記憶障害とあいなったわけです。

 調査の結果、60mg以上で発症、115mg以上で記憶障害、300mg程度で致死量(人間)ということが分かりました。カナダで中毒を起こした貝は、貝の身100g当たり約30mg~150mgという高濃度のもので、2、3個食べただけで致死量に達するものでした。

1130accid_03.jpgハイイロミズナギドリ「Wikipedia」より引用

 ちなみに、ヒッチコック監督の映画「鳥」には元となった出来事があるのをご存知でしょうか? 1961年、米カリフォルニア州で普段は温厚なハイイロミズナギドリが人間を襲撃した事件がありました。当時、原因はまったく不明でしたが、その後の調査で、ドウモイ酸で毒化したイワシを食べたハイイロミズナギドリが錯乱に陥り、人間を襲ったことが判明したそうです。
(文=くられ)

●くられ

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 添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた新刊『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』(三才ブックス)が好評発売中。

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【これまでの猛毒一覧】

・ 青酸カリ「前編」「後編
・ リシン「前編」「後編
・ クロロホルム「前編」「後編
・ 一酸化炭素「前編」「後編
・ 覚せい剤「前編」「中編」「後編
・ トリカブト「前編」「後編
・ タリウム「前編」「後編
・ ドクウツギ「前編」「後編
・ ヘロイン「前編」「後編
・ フグ毒「前編」「後編
毒キノコ
・テタヌストキシン「前編」「後編
・大麻「前編」「中編」「後編

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