「時間は実在しない。幻想である」物理学者2人が“時間の定義”を完全に覆す理論を提唱!

■現在主義

「時間は実在しない。幻想である」物理学者2人が時間の定義を完全に覆す理論を提唱!の画像5画像は「Thinkstock」より引用

 一方、英物理学者ジュリアン・バーバー博士は、「現在主義」という別の立場から、時間の非実在性を主張する。博士は、物理学者であり作家のアダム・フランク氏との対談(「時間について:ビッグバン末期におけるコスモロジーと文化(About Time: Cosmology and Culture at the Twilight of the Big Bang)」)で、全ての場所がそれぞれの“現在”と対応するという想像上の国家「プラトニア」について言及している。空間と時間が対応する「ブロック宇宙」に似ているが、博士がここで特に注目するのは“現在”の特権性である。プラトニアではどこに移動しても、ある任意の時間が現在になってしまうため、ここには過ぎ去った過去や、未だ実現していない未来という時間の流れは存在しない。この思考実験から、次のような結論が導き出せると博士は言う。

「あなたが先週存在したという唯一の証拠は、あなたの記憶です。ところで、記憶は“現在の”脳のニューロン構造が生み出します」
「地球に過去があったことを証明する唯一の証拠は、岩や化石です。しかし、岩や化石から過去の存在を知るのは、それら岩や化石を調べている“現在の”我々です」
「要は、全ての記録(記憶)は、“現在の”あなたが持っているということです」

 英哲学者バートランド・ラッセルが考案した「世界5分前仮説」という奇妙な思考実験がある。ラッセルは、過去から現在に至るまで138億年にわたり存在してきたはずの宇宙(世界)は、実は今からたった5分前に作られたと考えても全く差し支えないという。1億年前の化石も、現在の我々にとって“1億年前の化石として”5分前に作られ、我々の記憶も5分前に“我々の記憶として”作られたため、客観的に1億年前という過去が実在しなくても、1億年前があったと考えることはできるというわけだ。ラッセルはたまたま5分前と想定したが、1分前でも、1秒前でも、仮説の本質は変わらない。それどころか、一瞬毎に世界が創造されていると考えることも可能だ。

「時間は実在しない。幻想である」物理学者2人が時間の定義を完全に覆す理論を提唱!の画像6画像は「Thinkstock」より引用

 バーバー博士の「現在主義」が言わんとしてることも、突き詰めれば「世界5分前仮説」と同じである。つまり、記憶は“現在の”記憶でしかないため、どこまでいっても過去が客観的に実在したと証明することはできないのだ。

 狐につままれたような印象を受ける議論であるが、これら2つの説を理解する鍵は、物理学者が対象としている時間は物理学的な時間であり、我々が経験するような流れる時間は主観的なものに過ぎず“実在”の名に値しないと考えているということだ。

 かといって、物理学者の時間理解が我々にとってまったく面白みがないとも言い切れない。4次元立方体に住むことはできないとしても、時間の本質が本当に「ブロック宇宙」や「プラトニア」のようなものだとしたら、いずれはタイムトラベルだって可能になるかもしれないのだ。そう考えると、物理学者らの奇妙な時間理解も夢のある話に聞こえないだろうか?
(編集部)


参考:「Express」、ほか

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