奇習! 「神とのまじわり」を実現する伝説の秘薬 ― O県に存在したナチュラル系ドラッグ“神丸”とは?

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奇習! 「神とのまじわり」を実現する伝説の秘薬 ― O県に存在したナチュラル系ドラッグ神丸とは?の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より

【日本奇習紀行シリーズ】 O県 

 アメリカ先住民の呪術者たちが、かつて神との交信のために用いたというサボテン科の植物・ペヨーテ。この植物を噛んだり、煎じて飲むことで得られる幻覚効果が、彼らに「神を見せる」ことに繋がっていたと考えられるが、こうしたある種の中毒症状をもたらす成分を服用することで、「神とのまじわり」を実現しようという向きは、かつて我が国においても一部地域で存在していたものなのだという。


「私らの世代はもうそういうことしなかったけどね。親の世代くらいまではやっていたようだね」


 自然界に存在する様々なものを用いて、実現していたという「神とのまじわり」についてそう語るのは、O県北西部のとある地域に住む古老・渡辺庄三郎さん(仮名・81)。渡辺さんの話によると、かつて当地にはそうした「神とのまじわり」を実現する習慣が存在し、人々は日常的にそうした行為を行っていたという。


「なんだろう、大人たちは“仙丸”とか“神丸”って呼んでいたようだけどもね、それこそ正露丸みたいな丸薬があってね。それを村にいる神主さんみたいな人がこさえてくれる。村の連中は、それをお布施と引き換えに2粒、3粒ともらうのだけども、それを飲むとね、途端に気分が悪くなるらしいんだよ。けども、それがちょっと落ち着いてきたかな?という頃合になると、急に意識がすっきりとしてきて、神様が見えるっていう話」


 渡辺さんの話によると、その「神とのまじわり」を実現させる丸薬は、その製法が秘伝とされているもので、「聞くところによると、河豚やら毒茸やらの毒をつかったもの」(渡辺さん)なのだという。無論、詳細については不明だが、前出のペヨーテと同様、ナチュラル系ドラッグの類であると考えてさしつかえないだろう。では、そうした“秘薬”により、村人たちはどのような幻覚を楽しんでいたというのか。

「そのね、神様が見えたときに、自分が見たい世界を伝えると、それを見せてくれるっていう話だったわな。たとえば、夫に先立たれた女は夫のいるしあわせな日常を見たいというだろうし、金持ちな生活をしたいと願う人間はそれを伝えるっていう。もっとも、それを見たところで、まさに“泡沫の夢”のようなものでしかないんだろうけどもさ」

 地元の史家によると、当地はかつて深刻な疫病が広まった時期があり、その頃、人々の生活は極めて厳しいものであったのだそうだ。そんな矢先に、ある修験者がこの地を訪れ、「すべてが救済される」という秘薬を人々に与え、以後、村人は幸せな日々を過ごすようになったという逸話が残されているのだという。もし仮にそれが事実だとするならば、その修験者がもたらした秘薬こそが、渡辺さんの言うところの「仙丸」ないし「神丸」と呼ばれる秘薬であり、その効果によって、疫病や不作に苦しむ村人たちの多くは、厳しい現実からの逃避を行うことができた…と辻褄が合うように思う。


「まあ、時代がね、下ってからは、夫婦間のまじわりというか、営みのときにね、その薬を使うようになったりしたと聞いたけども、そういうやたらめったら使う連中が増えたせいで、もう作られなくなったという話だよ」


 不届者たちの乱用により、“配給”が中止され、今ではその製法すら不明だという幻の秘薬。実際に「神が見える」かどうかは別にしても、その中身が実に気になるところだ。
(取材・文/戸叶和男)

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