
近年、日本の美大芸大は女の子が多いという話がある。特に最近、なぜか女の子が男の子よりも元気がいい。そればかりか、女性アーティストの方が自由な創作の意欲にあふれているように思うのだ。彼女たちは自らがモデルとなり、被写体となり、あるいは作品そのものと一体化してしまうこともできる。そんな女の子たちの表現が新しいアートになる得る可能性を多分に秘めているところがまた面白い。
そんな中でも注目のアーティストに林千歩がいる。彼女の映像作品は、グロテスクなエロティシズムとユーモアに満ちている。作品中で彼女は顔面をキャンバスとした過剰なメイクを施し、得体の知れない“何か”に扮して登場してくる。そのビジュアルは一度観たら忘れられない独特の中毒性を持っているのだ。

そして、現在、彼女の個展『初美カコ -Project MUSE-』が開催中である(4月16日まで)。皆さんご存知のキャラクターを連想させるビジュアルが示す通り、林千歩の頭の中で、バーチャルな存在と生身の人間が合体し、現代日本の微妙に歪んだ世の中を映し出すものになっているのだ。
さっそく、その林千歩の作品世界を覗いてみよう。