なぜフリーメイスンはルペンを嫌うのか?
なぜフリーメイソンはルペンを嫌うのか? フランス・メイソンと政治の深い関わりを比較文化史家が語る!
高須クリニックの高須克弥院長がSNSでフリーメイソンとしての活動を盛んに発信するようになって、一般の方の間でフリーメイソンの認知度は今までになく高まっていると言えるかもしれない。しかし、日本のグランドロッジはもともと在日米軍とその家族のためのものであり、英米系のフリーメイソンである。フリーメイソンには英米とフランスの二つの流れがあり、フランスのフリーメイソンを巡る状況については日本ではあまり知られていない。そこで、仏大統領選におけるフリーメイスンの動向にも注目が集まるなか、2015年に『フリーメイソン もうひとつの近代史』(講談社選書メチエ)を出版されたフランス在住の竹下節子さんに、フランスのフリーメイソンに関して聞いた。
――『フリーメイソン』(講談社選書メチエ)を読んでびっくりしたんですけど、フランスのフリーメイソンはずいぶん積極的に政治と関わっているんですね。
竹下節子さん(以下、竹下) 政教分離が進んだフランスでは、フランス革命の精神で政治的になったフリーメイスンにも非宗教性が反映されるんですね。そのため、「至高存在」さえ立てない無神論も許されるグラントリアンが最も優勢なフリーメイソンとなっていきます。そのうえ、グラントリアンでは女性支部があったり、男女共存の「人権」ロッジが存在するなど、女性を入会させないアングロ・サクソン系のフリーメイスンとは違う道を歩みます。1773年にできたグラントリアンはフランスで一番古いフリーメイソンですが、無神論も容認したため、イギリスのグランドロッジからは認証されていません。でもとにかく最初からリベラルで世俗的なんです。政治的には3分の2が左派で、3分の1が中道といわれています。それにグラントリアンは伝統的にはカトリック教会の権威を否定する反教権主義なんですね。フランス革命を支えたようにカトリックに対して反旗を翻したんです。だから社会党が多い。グラントリアンは信教の自由も表現の自由もあるけれど、現時点で大統領候補のマリーヌ・ル・ペンのいる「国民戦線」に加入することは禁じています。

一方で、フランスにもイギリスのグランドロッジから認証されたナショナルグランドロッジ(GLNF)が1913年にできたのですが、2009年のグランドマスターがサルコジ大統領に近づいたんですね。それで政治に近づきすぎたということでメンバーが5万人から半減して、グランドロッジアソシエ(GLAMF)が分派してしまいます。このロッジは2012年にフランス・グランドロッジ(GLF、1894創設、無神論者は受け入れない)と認証し合って互いに交流することになりました。フランス・グランドロッジは共和党の人が多くて一番オープンで、講演会などを多く開催しています。そこは政治の話もオーケーですし、神の存在を認めています。
ナショナルグランドロッジ(GLNF)は2012年にロンドンからの認証が取り消しになったんですが、2014年にまた認証されています。そのように認証されたり取り消されたりを繰り返す場合もあるんですね。とにかく、フランスのフリーメイスン自体は政治的に大きな権力はないんですけど、何かを阻止する力はあります。グラントリアンやその他のフリーメイソンを合わせると人数も多いですし、影響力もあるので、そこの合意を取り付けないと政策が実行できないんですね。だから大統領候補はみんなグラントリアンに行って公約をするんです。2012年のオランド大統領の場合は同性婚や安楽死法を通すとか、グラントリアンが望むテーマに対し、「私が大統領になったら実行します」と約束した。でも大統領になってからは国民全体の代表ですから、もうグラントリアンに行くことはない。ただ、今年2月27日にオランド大統領が現役の大統領として初めてグラントリアンを訪れたことがニュースになりました。オランドは再選を目指さないと決めたので行ったのでしょう。

フランスでは政権の中で誰がフリーメイソンかも公表されています。バルス首相もフリーメイスンを足場にして当選したんですが、忙しくなってやめました。フリーメイソンは2週間に一度の集まりに行かなければなりませんからね。脱退の手続きをしたというのも公表されていましたよ。2013年の春、社会党政権の予算担当大臣ジェローム・カユザックはスイスの銀行に隠し口座を持っていることがばれ、大臣を辞職しました。このとき、社会党からもフリーメイソンからも追放されたんですね。
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