ホモ古本ブックカフェ「オカマルト」が超絶熱い
ホモ古本ブックカフェ「オカマルト」が超絶アツくてカッコイイ! 店主と語る「抑圧・オカルト・三島切腹アナル…」@二丁目

新宿二丁目、もはや中学生でも知る東アジア最大のゲイタウンであり、週末となればその表通りには同好の士たちによる朝までの饗宴が繰り広げられている。そんな中にあっても、かつての内藤新宿、新宿遊郭の名残を色濃く残したディープな一角が新千鳥街と呼ばれる雑居ビル群である。その道の者ならいざ知らず、およそノンケの者ならば泥酔状態であっても足を踏み入れることをはばかられるような二丁目の最深部の一角に、昨年末、一軒のブックカフェがオープンした。場所柄からわかるように、近年ありきたりなロハス的カフェ・カルチャーの産物と侮るなかれ、その店名は「オカマルト」。
当代一のドラァグクィーン、マーガレット嬢が店主を務める、正当な裏文化の巣窟なのである――。

■2丁目のブックカフェ「オカマルト」に潜入
――さっそくですが、『トカナ』読者にオススメの本って何かありますか?
マーガレット嬢「それならコレね」
そう言って出してくれたのがChristopher Penczak著『Gay Witchcraft』(2003年/Red Wheel Weiser刊)。サブタイトルには“Empowering the Tribe(仲間に力を)”と書かれている、ゲイの魔術書である。
マーガレット嬢「自分を知って、自分を許していくためのおまじないが書かれていたりするんだけど。こんなバカな本を作るのはどうせアメリカだろうけど(笑)、キリスト教と魔術っていうのは表裏じゃない? それと一緒で、キリスト教の裏側にホモは押し込められていて、裏がさらに裏側を作っている、っていう構図がおもしろいのよね。全部読んだわけじゃないけど、マジック自体は簡単なものしか紹介されてない。簡単なキャンドル・スペルの儀式でも、“ホモがやるとこうなる”っていうだけなんだけどね。目次だけでも拾っていけば笑えるネタになるかも。たとえばこの“protection potion”っていうのは外敵からホモバッシングを受けた時に身を守るおまじないなんだけど、“そうしなければホモは生き延びられなかったんだよなぁ”っていうところですよ」
「オカマルト」の店内にある書棚には、この『Gay Witch Craft』をはじめとして店主のマーガレット嬢がその生涯をかけて集めたありとあらゆる類のゲイ関連書物が陳列されており、来店客はそのすべてを読むことができる。蔵書はむろんこの店内に収まる量ではないため、随時入れ替えをしながらの営業となっているという。営業日は毎週日曜~水曜日の13時~20時。カウンターの中に鎮座するのは、“生けるゲイカルチャー”ことマーガレット嬢その人である。
■《オカマ》と《オカルト》は同じ。どちらも世界から抑圧・排除されたもの
――「オカマルト」開店のチラシには失われつつある古き良きホモ文化を保全する”というキャッチコピーがあるんですけれど、やっぱりそれは失われていっているものなんですか?
マーガレット嬢「まず店の由来をお話ししましょうか? これは《オカマ》と《オカルト》の造語として僕が作ったものなんです。みんなこれを聞くと“意外だ”っていうんですけど、僕の中でこのふたつは本質的には同じだと思ってるの。いま、西洋の文化文明が世界を支配しているでしょ? 西洋の文明というとキリスト教。キリスト教がローマ時代に生まれて、それが十字軍のようなもので世界中にワーッって広がっていく時に、それまであったローマの神々やそれぞれの土地の土着の信仰っていうのが、キリスト教によって幕の下に押し込められてしまった。つまり、アンダーグランドに押し込められてしまったのよね」
――隠蔽されたんですね?
マーガレット嬢「そう、まさに隠蔽の“隠”なんだけど、オカルトっていうのは日本語で『隠秘学』って書くのね。その《押し込められてしまったものたち》、たとえば“おばあちゃんが薬草を煎じて病気を治した”みたいな昔ながらの医療すらも、“魔女の仕業”にされてしまったの。世界はそういうわけで、キリスト教を中心に近代化されていったんだけど、そんな中で幕の下に押し込められてしまったものを発掘するのがオカルトだった。とすると、ホモも同様に、《異性愛》という文化が、少なくともギリシャ時代なんかは男同士でバンバンヤッてて当たり前だったのに、キリスト教的な近代化をしていく中で抑圧されてきて、《存在しないもの》として扱われたり、存在しても、邪教や悪魔崇拝と同じようなものとして扱われてきたの。これは、同じなんだよね。キリスト教にしても異性愛にしても、何か一つの文化が世界を支配していくと、必ずその影に押しやられるものが出てくる。そういうところで僕にとっては《オカマ》と《オカルト》って一緒だと思うんですよね」
――そういうところに両者の親和性があったんですね。
マーガレット嬢「まあ僕はオカルトが好きだった“第一次オカルトブーム世代”の人間だからっていうのもあるんですが。映画でいえば『エクソシスト』の頃ですね(笑)。僕は個人的には西洋魔術とかが好きでしたけど、今はオカルトがもっと広い範囲で一括りになっていて、それこそUMAからツチノコから魔術なんかも入ってくるよね」

――確かにオカルトという言葉の領域は、かなり広がっていますよね。
マーガレット嬢「でも、ツチノコやネッシーだって、ダーウィニズムから外れてるからみんな興味を持つんだよね。ダーウィニズムってけっこう近代のものだからね。まあそういう“オカマとオカルトはいいなぁ”という感覚がずっとあって、“その界隈の書籍を買い集めて古本屋でもできないかなぁ”と思っていたんだけど、“間口が狭過ぎて商売としてまわっていかないだろうと”考えた。でも、なんとかして“自分の持ってる蔵書をみんなに見てもらいたい”ということでできたのが今の店なんです。これまでの先人たちが書いた著作を通して、今の若い子たちになんか伝えられたらいいなあというのが前提で……」
――なるほど。先ほどお客さんたちに“なんとかしてこの子たちの引き取り手探さなきゃ”って言われてましたが、マーガレットさんにとってオカマルトの蔵書は子供なんですね。お母さん感覚というか(笑)。
マーガレット嬢「子供よ、もうそれは。自分の死期が近付いてくると人間いろいろ考えるよ……もうアタシも55歳だからね!」
――もうそんなになりますか!
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