「死体を完全に溶かす毒」の存在を徹底検証、結論出ました! ~ググっても出ない毒薬の手帳~

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画像は、「Thinkstock」より

 となってくると、酸での死体隠滅を行う場合、「ホーロー製の巨大な容器で死体を硫酸で煮込む」しかありません。しかし硫酸(H2SO4)は加熱しても酸化力に限界があるので、さらに分解を促進するために過酸化水素水を居れて、過硫酸(H2SO5)にしてパワーアップさせる必要があります。そうすれば、ある程度骨も溶かすことができそうです。

 とはいえ、人間ひとりを数十キロの肉の塊として考えると、それらを液体にするほどの硫酸は時間さえかければ同量程度で十分でしょうが、おそらく体重の3,4倍量は必要となり、同時に反応時に凄まじい水蒸気の湯気(飛沫は危険な希硫酸が大量に飛び散る)ということになるので、秘密裏に死体を静かに隠滅するというのは難しそうです。でも、不可能ではありません。

 そんなわけで、フィクションにありがちな「触れるだけでドロドロに即座に溶けてしまう毒」は、死体隠滅には難しいものの、候補はいくつか絞れそうです。

 例えば「熱濃硫酸」。硫酸は熱を帯びた状態では振る舞いが変わり、死体をも消すくらいのパワーを持ちます。また費用が安く運用が比較的簡単です。熱濃硫酸は通常の硫酸が緩く水飴状なのに対して、極めてさらさらした液状になり、濡れ性がアップします。つまり組織の奥深くに入り込みやすいということです。映画やゲームでビシャっとかかっていっきに溶けて死ぬ時に使われる毒の類いは熱濃硫酸が極めてイメージが近いといえます。

 化学反応的には、高熱の濃硫酸は反応性が高くなっており、触れた体から速やかに水分を奪い、炭化させて組織破壊を起こします、濡れ性が高いとその空間にさらに入り込んで浸食……をするので、絵的には煙を上げながら焼け溶ける感じになるでしょうから、極めてゲームにありそうな感じになります。他にも、タンパク質分解酵素を注入なども溶けますが時間がかかります。ハブの毒や、肉食のカメムシであるサシガメやタガメといった昆虫の毒液にも消化酵素が含まれており、触れた細胞をドロドロに分解消化していきます。

 こうした酵素系の毒はまた回を改めて紹介しましょう!
(文=くられ)

●くられ

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 添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた新刊『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』(三才ブックス)が好評発売中。

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【これまでの猛毒一覧】

・ 青酸カリ「前編」「後編
・ リシン「前編」「後編
・ クロロホルム「前編」「後編
・ 一酸化炭素「前編」「後編
・ 覚せい剤「前編」「中編」「後編
・ トリカブト「前編」「後編
・ タリウム「前編」「後編
・ ドクウツギ「前編」「後編
・ ヘロイン「前編」「後編
・ フグ毒「前編」「後編
毒キノコ
・テタヌストキシン「前編」「後編
・大麻「前編」「中編」「後編
ドウモイ酸
・ヒ素「前編」「後編
・「ドクササコ
・「ライチ
・「暗殺に使われる毒の色々VX、リシン、ボツリヌスetc
・VXガス・サリン「前編」、「後編
・ゾンビ化ドラッグ「前編
・溶かす毒「前編」「後編

コメント

1:匿名2017年5月14日 19:58 | 返信

管理人さん、いつも大変面白い記事を愛読させていただいています。
さて、人間を分解する酸(塩基)のお話ですが、濃硫酸(90%以上の硫酸)ならば人を一週間も漬け込んでおけばグズグズになります。速さが必要ならば、やはり強アルカリでしょうね。水酸化ナトリウムよりも反応が激しい水酸化カリウム(KOH)を溶解する対象物の重量の7割ほどを用意し無機質容器内(ドラム缶)でお湯と一緒に解くと水分に溶ける際に激しく発熱(反応熱)し有機物のたんぱく質を変性させ更に溶解しますが、ここで過酸化水素水(市販品は濃度40%前後)を水酸化カリウムと同量用意し1時間後くらいに混合します。すると中和熱が発生して物凄い泡が酸素、水素とともに現れ対象物の分解しにくい脂肪等もあっさり分解します。特定実験動物の死骸処理法です。今は使われていない方法ですが、この様な塩基処理法を使い最終的に中和処理で分解処理しますと骨以外短時間で処理出来て残った骨も再度塩基分解すれば何も残らないと言う訳です。以上、長々とお粗末様でした。

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