“必然的に”封印された『東方見聞録』
撮影中に21歳のエキストラが死去! 8キロの鎧を着て…悲しき封印映画『東方見聞録』とは?
――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

『東方見聞録』
1992年製作(劇場未公開)
監督/井筒和幸
脚本/神波史男、高橋洋、井筒和幸
出演/緒形直人、設楽りさ子、フランキー堺ほか
1981年に『ガキ帝国』(ATG)で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞し、ピンク映画界から一般映画界へ彗星の如く現した井筒和幸。その直後、彼は東映に抜擢されて続編『ガキ帝国 悪たれ戦争』を撮ったが、上映まもなく打ち切りにされてしまったことは2014年6月30日の当コラムで述べた。そんな井筒監督には他に、完成したが上映されずに劇場未公開となってしまった『東方見聞録』という作品がある。
製作はディレクターズ・カンパニー。通称ディレカンは、沢田研二主演『太陽を盗んだ男』(79年)の長谷川和彦が発起人となり、『狂い咲きサンダーロード』(80年)の石井聰亙(現・石井岳龍)、当コラムでも取り上げた『スウィート・ホーム』(89年)の黒沢清、『セーラー服と機関銃』の相米慎二など9人の若手監督で組織された映画製作集団だった。井筒監督は、元プロボクサー・赤井英和主演『どついたるねん』(89年)でブレイクした阪本順治監督を原作に迎え、総製作費8億とも10億円とも言われた(結局、半分程しか集まらなかったが)トレジャー・ハンティング・アドベンチャー超大作に挑戦した。
■『東方見聞録』あらすじ
戦国時代、1隻のポルトガル船が、日本のとある国の浜辺に来航する。降りてきたポルトガル人役が「変な外国人役と言えばこの人」の大泉滉で、彼を見て驚きのあまり気絶する漁師役が螢雪次朗。名脇役同士のファースト・コンタクトがクスッと笑える。
彼は同船していたポルトガル騎士(ケント・デリカット)とともに、ジパング(日本)に生息する伝説の生物を捕えに来たという。ポルトガルには、そいつを手に入れると世界征服がかなうという言い伝えがあり、彼らはポルトガル女王に献上するためはるばるポルトガルから渡ってきたのだ。
国では、私利私欲に走る領主・伊上時貞とその次男・時政の間で権力争いが起きていた。父子はフランキー堺による一人二役だ。百姓たちが足軽として時政軍に駆り出されるのだが、この足軽同士の合戦が意外と面白い。対峙すれば屁っぴり腰で槍を構え、ときには死体に化けて死んだふりして敵をやり過ごす。コミカルに描かれながらも、兵士ではない百姓の実戦って、こんな感じだったのでは?と妙なリアリティがある。
主人公の足軽・福助役は、名優・緒形拳の息子・緒形直人。当時は、『北の国から』シリーズ(フジテレビ系)、NHK大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』の信長役、トレンディドラマなどで売れっ子だった。他の足軽仲間には筒井道隆、本田博太郎、春田純一(東映戦隊シリーズ『大戦隊ゴーグルファイブ』のブラック)などが名を連ねている。
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