呪われた近親相姦の館…掟破りの【封印映画】のエグさに戦慄!悪趣味インモラルが炸裂!!

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

呪われた近親相姦の館…掟破りの【封印映画】のエグさに戦慄!悪趣味インモラルが炸裂!!の画像1※イメージ画像:『恐怖のいけにえ』(エスピーオー)

『恐怖のいけにえ 呪われた近親相姦の館』
1980年・アメリカ(1980年・日本公開)
監督/ピーター・フォレッグ
脚本/マイケル・L・グレース
出演/バーバラ・バック、シドニー・ラシックほか

 かつて「アメリカの田舎町では、旅行者は狂った一家によって惨殺される」と日本人ホラー映画マニアの多くは信じ込んでいた。それを刷り込まれた代表作が、レザー・フェイスがチェーンソーを振り回す『悪魔のいけにえ』(75年)。これを配給した日本ヘラルドは、『THE UNSEEN』(見えざる者)という作品を『恐怖のいけにえ』という邦題で1980年に公開した。『悪魔のいけにえ』の脚本家キム・ヘンケルが原案に参加していた故の邦題だろう。

 映画は大コケしたが、その後しばらくしてテレビ放映で初めて作品を観た私は、その内容のエグさに戦慄した。まもなく作品は『恐怖のいけにえ 呪われた近親相姦の館』というデンジャラスなタイトルでビデオ化された。

■『恐怖のいけにえ 呪われた近親相姦の館』あらすじ

 ロスのテレビ番組制作会社に勤めるジェニファー(バーバラ・バック)は、女性スタッフのビッキーとカレンを連れて郊外で開催される祭りの取材に行く。だが手違いでホテルが予約されておらず、親切な博物館の主人アーネスト(小太り・ハゲ・中年)が、困っている彼女らに自宅を提供する。

 人里離れた土地に建つアーネストの屋敷の各部屋には、人間がひとり通れるサイズの四角いフタが床に付いている。出迎えたアーネスト夫人のバージニアは、悲しそうな顔をして歓迎していない様子だ。午後になると、体調を崩したビッキーを残して、ジェニファーはカレンを連れ立って祭りの取材へ出かけた。アーネストはそれを見計い、ゲストルームに忍び込みシャワーを浴びているビッキーを鍵穴から覗き、満足して博物館へ戻っていく。アーネストは親切そうに見えて実はスケベオヤジだったのだが、覗きなどかすんでしまうほどトンデモないド変態であることが後に発覚する。

 帰宅したアーネストはベッドで寝込んでいるビッキーと、ジェニファーよりもひと足早く家へ先に戻ったカレンが何者かに惨殺されているのを発見。すると、彼は鞭を片手に地下室へ駆け込み、「ジュニア」と呼ぶ誰かに向かって叱責し、鞭で打ってお仕置きをする(まだ姿は見えない)。アーネストはバージニアに「この事件が知れたら私たちの秘密も暴かれる。兄と妹が夫婦だなんて、世間は決して許さんだろう」。そう、彼らの息子は地下室に監禁され、各部屋にはエアダクト(通風管)を伝って床のフタから出入りしていたのだ。

 そこへジェニファーが戻ってくる。アーネストは言葉巧みに薄暗い地下室に閉じ込めてしまった。ジェニファーが室内を歩き回っていると、ビッキーとカレンの遺体を発見する。悲鳴を上げてつまずき、布団やカーペット、紙くず、服などが集積したゴミの山に倒れ込む。その途端、「うう、う~」とゴミの中から人間が現れる! ジュニアだ。ルックスは、親父に似て薄くボサボサの頭髪でデブ。薄汚れたヨレヨレで穴だらけのTシャツと短パンに素足。奇声を上げながら追いかけてくるジュニアにジェニファーは大パニック。ジュニアは逃げるジェニファーの髪の毛を後ろからつかみ、さらなる奇声を発して興奮。あお向けに倒れたジェニファーは恐怖で口も目も最大限に開き、裸足の足をバタバタさせているジュニアを見上げている。

 このジェニファーを演じたバーバラ・バックは、最近逝去したロジャー・ムーアと『007 私を愛したスパイ』(77年)で共演したボンドガールにして、ビートルズのリンゴ・スター夫人というセレブだ。変な映画好きの私は、バーバラのスケチク(透けている乳首)が拝める動物パニック映画『パニック・アリゲーター 悪魔の棲む沼』(78年)、H・G・ウェルズ原作『ドクター・モローの島』(77年)のパクリ『ドクター・モリスの島 フィッシュマン』(79年)、『スター・ウォーズ』(77年)のパクリで『007』のリチャード・キールと再び共演した『ヒューマノイド 宇宙帝国の陰謀』(79年)などで彼女の姿を堪能してきたが、バーバラ・バック鑑賞の最高傑作がこの『恐怖のいけにえ』だ。あり得ない絶望的な状況下、東欧からのユダヤ系移民である父とアイルランド系の母との間にニューヨークで生まれ育ち、モデルからボンドガールになったエキゾチックな美貌が歪む、また歪む。そこに私は心底そそる。この作品におけるバーバラ・バックは、ホラー映画史上最高といっても過言ではない恐怖演技を見せてくれたのだ。

 ジュニアはゴミの山(兼ベッド)からホコリだらけで綿が飛び出したクマちゃんのヌイグルミを掘り出し、グイッとジェニファーの前に差し出す。ジェニファーが反応しないと、それをジェニファーの顔に付けては離し、付けては離す(そのたび宙に舞うホコリと綿)。ジェニファーが仕方なくヌイグルミを手に取ると、ジュニアはヌイグルミを奪いグルグルと振り回したあと、自分のパンツの中に入れて駆け出した。さらにジェニファーの前でデングリ返しをして猛烈アピール。上手にできたらしく、両手を胸の前で「パン!」。喉が渇いたのか、床にたまった泥水を「ズズズ~」(汗)。そしてジュニアはジェニファーの髪の毛に鼻と口をうずめて匂いを嗅ぎ大興奮し、口に入れる。ジェニファーは「〇△×~!」(表現不能)と叫び、服装は汚れ乱れ、心身共にボロボロ……。

 なぜかジュニアの配役は、本編が終了してからのエンドロールにテロップされていなかったが、演者はコメディ『アニマル・ハウス』(78年)でブレイクしたスティーヴン・ファースト。彼がいなくては作品が成立しなかった迫真の怪演だった。そして『カッコーの巣の上で』(75年)にも出ているシドニー・ラシックの変態オヤジぶりも光っていた。

『悪魔のいけにえ』は加害者一家の出自を一切省き(その後、続編やリメイクで語られるが)、不条理な猟奇描写に特化することで観客を震え上がらせたが、『恐怖のいけにえ』は加害者の背景を「近親相姦」というインモラルなテーマで明確にするだけでなく、その先(ジュニア)まで悪趣味に描いてしまうという掟破りの作品だった。当時はこういった映画が劇場で一般公開され、テレビでも普通に放送されていたのだ。この結末は、『恐怖のいけにえ』という公開題で発売されたDVDでどうぞ。

文=天野ミチヒロ

天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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