奇習!死後に繰り広げられる親族男性による“秘密の儀式”- 山間の集落で行われたネクロマンティック

 男女の情愛というものは、そもそもその当事者間でしか理解できるものではなく、それは時として不可思議な行為を生み出すものだ。現在、神奈川県東部のとある都市に住む末次隆一郎さん(仮名・91)は、そんな“男女の情愛”が元となって広まった奇妙な儀式について知る貴重な生き証人の一人だ。

「そうですね、あれは私がまだ6つか7つくらいの頃だったと思いますから、もうね、随分と昔の話になりますけれどもね、当時、私のいた村ではね、死んだ女房や娘の遺体を掘り起こすっていう、おかしな儀式がありましてね。ええ、そうです、一度埋葬したのに、それを掘り返すんです」

 末次さんによると、彼が生まれ育った中部地方のとある山間の集落では、女性が死亡した際に、一度、通常の葬儀や埋葬が行われた後で、わざわざその遺体を掘り返し、その親族男性によって“秘密の儀式”が行われていたのだという。

「掘り起こすのはね、埋葬した日の晩と決まっていまして。その時は、村に流れる川のね、河川敷の部落の人、たしか“カワボウ”とか“カーボウ”とかって呼ばれている人らがですね、人足として借り出される形で行いましてね。それをその家の旦那さんだったり、父親だったりがね、家に背負って帰ると」

 掘り起こされて家へと運び込まれた女性の遺体は、その後、丁寧に湯で洗われ、女衆によって化粧直しをされた後、家の奥まった場所にある部屋へと運ばれる。そして、妻は夫が、娘は父親がという具合に、故人女性との縁が最も深い親族男性が、朝まで儀式を行うこととなるのだという。

奇習!死後に繰り広げられる親族男性による秘密の儀式- 山間の集落で行われたネクロマンティックの画像2

「その儀式っていうんですかね、それの中身は本当にわからないんですね、よその人間には。その家によって違うでしょうしね。ただわかっているのは、生きている生身の人間にするように、深い想いをもって、あれやこれやと世話をするということ。だから、女房に先立たれた旦那さんなんかは、今生の別れを惜しみながら、冷たくなった亡骸を抱くなんていうこともあるでしょうしね、娘さんを失った父親なんかは、あつらえた綺麗な着物なんかを着せたりしてやるんじゃないかなって。要は、一度、表向きの葬式を済ませてから、ごくごく私的な葬式とでも言いますかね、そういう儀式をね、誰の目も気にせずに、思う存分、好き勝手にやるっていう、そういう話なんじゃないかと思いますね。ええ、もちろん、その夜が明ける頃には、また墓場まで連れ帰って埋め戻しますよ」

 末次さんの話によると、やがて土葬から火葬の時代へと移り変わる中でいつしかその姿を消し、今ではその存在を知る者すら少なくなりつつあるというが、当時は、この儀式を行うことで、「来世での再会を実現する強い絆が生まれると信じられていた」(末次さん)という。妻や娘や姉妹といった、自分にとって大切な女性を失った男性の気持ちを思えば、こうした“人目を憚ることない送り”の儀式を行うこと自体は、理解できる部分もなくはないが、ややもすると、身内の葬儀ですらも、システマティックに執り行われることも少なくない現代の我々からすれば、やはり奇妙な風習の一つであることは間違いないだろう。

文・取材=戸叶和男

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