奇習! 「死んでも臍の緒で生き返る」 ― 先祖秘伝の蘇生術を実践する「塩漬け村」の実態=北陸沿岸

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【日本奇習紀行シリーズ】 北陸地方

 最近では、一昔前のハリウッド映画よろしく、死後に遺体を冷凍保存し、科学が飛躍的な進化を遂げた未来に蘇生することを期待するプロジェクトが、世界各国で行われるようになるなど、それこそ人類の“生”に対する執着は、並々ならぬものがあるということを感じさせるが、そうした“未来での蘇生”に、早い段階から挑戦してきた人々がいる。北陸地方の沿岸地域にある某集落の人々が行ってきた儀式は、まさにその典型とも言うべき事例の一つだ。


「今じゃこのあたりの人間でも、知っている人間はだいぶいなくなっちまったと思うけどね。うん、たしかにそういうことをしていたっていう話だよ」


 今回、我々の取材に対してそう語りはじめたのは、当地で生まれ、現在も暮らし続けている元農業・小村洋二さん(仮名・78)。小村さんの話によると、かつてこの地域では、赤ん坊が生まれると、決まって不思議な行為を行っていたという。


「赤ん坊が生まれるときに、臍の緒が出るでしょ。あれをね、ずっととっておくの。いやいや、記念とかそういうことじゃなしにね、死んだときに生き返るために必要だからって」


 最近ではもらえないケースもままあるとは聞くが、昔から、赤ん坊が生まれた際に切り離された臍の緒は、誕生の記念として、小箱などに入れられた状態で病院側から提供され、後生大事に保管されるというケースが一般的。しかしそれはあくまで「記念」としてのものであり、死後の“蘇生”を目的として保管されるという事例はあまり聞くことはないだろう。


「うーん、よそではどうだか知らないけども、このあたりじゃね、臍の緒を切った後でね、焼酎で綺麗に洗って塩漬けにするの。それでもし万が一、その子が大人になるまでの間にね、病気やなんかで死んでしまったらね、それを使ってまじないをするとね、子供が生き返るっていう話があってさ。私が子どもの頃ぐらいまでは、みんな当たり前のようにそうしていたもんだよ」

奇習! 「死んでも臍の緒で生き返る」 ― 先祖秘伝の蘇生術を実践する「塩漬け村」の実態=北陸沿岸の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より

 たしかに、現代に比べて乳幼児の死亡率が高かった時代には、子どもが無事に成人するまでの祈願として、さまざまな祈祷やまじないの類が行われていたことは、多くの人々の知るところではあるが、それが「臍の緒の塩漬け保存」となると、かなり珍しい事例であることは間違いないだろう。


「もっとも、実際にそうなってしまって、塩漬けの臍の緒とさ、まじないなんかでね、子どもが生き返るか? って言われれば、そんなことはありゃしないだろうっていうのは私もわかるけれども、まあ、昔の風習なんていうものは、だいたいそんなものだろ。鰯の頭も信心からっていうぐらいだしね」


 最近では再生医療という観点から、「歯髄細胞バンク」のように、人間の細胞に着目し、それを後世まで保存しておくことで、将来の疾病対策などに役立てようという向きや、「臍帯血バンク」のように、臍の緒に含まれている血液に着目する医療もあるが、小村さんの生まれた集落で行われていたのは、それとはまた違ったタイプの行為である模様。現代ほど医療に対する知識がなかった時代から行われてきたというだけに、なんとも不思議な話である。

文=戸叶和男

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