奇習! 競売にかけられる幼女、金品を投げ打つ村の男たち ― 近畿地方に実在した伝統的な“女児入札制度”の実態

関連キーワード:

,

,

,

,

,

奇習! 競売にかけられる幼女、金品を投げ打つ村の男たち ― 近畿地方に実在した伝統的な女児入札制度の実態の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より

【日本奇習紀行シリーズ】 近畿地方

 かつて結婚というものは、親同士の取り決めなどによって行われ、自由恋愛とは無縁の婚姻関係によって結ばれる男女も少なくなかった。そうした自由意志の介在しない婚姻の中には、さらに悲惨な事例も存在していたという。


「私も死んだじいさんから、子どもの頃に聞いた話なんで、そう詳しくはわからないんですけどもね、あのあたりの土地じゃ、普通の恋愛だの、結婚だのというのはまったくなくてね。すべて生まれた直後に、大人たちが勝手に決めてしまうんです」


 かつて当地に存在していたという奇妙な婚姻と、それにまつわる習慣についてこう証言するのは、現在は郷里を遠く離れた山陰地方に住む無職・佐藤精助さん(仮名・87)。佐藤さんによると、彼が生まれ育った近畿地方のとある地域においては、少女が誕生すると、なんとも奇妙な形でその婚姻相手が決定されるという習慣が存在していたという。


「言ってしまえば、セリですね。一番たくさんの金や財産を投じた人間が、その女の子をモノにできるっていう……そういう話ですね。だから、女の子が生まれると、そのうちの両親は、労せずに大金が舞い込んで来るっていうことで、大変な喜びようだったそうですよ」

 なんでも、当地で女児が誕生すると、生後1カ月を経た段階で、近隣の村に住む人々を含めた寄り合いが行われ、そこで、女児の“セリ”ともいうべき行事が行われるのだという。そのセリに参加するのは各家庭の男性に限定されており、同じ年頃の男児を持つ家庭の父親や、年の離れた弟の伴侶を探す兄、さらには自身の“歳の差婚”を狙って参加する未婚の男性など、多様な顔ぶれがこの行事に参加するのだという。そして、彼らは自身が支払うことのできる金銭や土地などの財産を紙にしたためて投票し、最も多くの金品を提供できる男性が、将来的に女児をもらいうける約束をとりつけることができるのだという。


「女といっても、まだ生まれたばかりの赤ん坊ですからね。そこからどうなるかわかりゃしないし、もしかすると大人になるまでに死んでしまうかもわからない。そうした意味でいえば、男衆にとっちゃ大きな賭けです。でも、逆に言えば、それだけ嫁不足だったんでしょうから、当時の事情が窺い知れるというものですよ。それに、女の子の親からしたって、当時の寒村じゃ生活は苦しい。もちろん、子どもの行く末はそう明るいもんじゃない。そう考えれば、ある程度、まとまった金を先にもらえるというのは、有難い話だったんじゃないですかね」


 たしかに、ただの恋愛とは違って、夫婦として一生を添い遂げていくには、夫である男性方の経済力は重要な要素の一つであるといえるだろう。そうした観点に立てば、“恵まれた人生を送る”という意味では、あながち間違いでもないのかもしれないが、とは言っても、自由な恋愛が行えないばかりか、自らの人生を、その保護者の手によって“セリ”にかけられるというのは、なんとも悲しい話。今では、すっかりその痕跡すらなくなっているというこの習慣であるが、願わくば、こうした経緯を経て嫁ぎ、その後の人生を送った女性に、話を伺ってみたいところだ。

文=戸叶和男

●戸叶和男の記事一覧はコチラ

戸叶和男の記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

奇習! 競売にかけられる幼女、金品を投げ打つ村の男たち ― 近畿地方に実在した伝統的な“女児入札制度”の実態のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル