認知症や喫煙者の遺伝子が自然淘汰されていることが判明! 人類は今もバリバリ進化中、しかし絶滅を招く遺伝子変異も…!?

■人間の進化、新たなる謎

 今回の研究は、人間のゲノムが今も自然淘汰を繰り返し、進化を続けていることを示した。だが、ここで新たな疑問も生まれた。なぜ、アルツハイマー病や中年の喫煙など、人生の後半になって問題となりうる遺伝子変異が、淘汰されつつある変異として検出されたのだろうか?

認知症や喫煙者の遺伝子が自然淘汰されていることが判明! 人類は今もバリバリ進化中、しかし絶滅を招く遺伝子変異も…!?の画像3画像は「PLOS Biology」より引用

 また、もう一つ興味深い謎も提示された。論文によると、今回の研究では寿命に関わりがある遺伝的変異が多数発見された。それらは心臓疾患や高コレステロールや肥満、喘息などのリスクに関わる変異で、長寿の人々にはあまり見られなかったという。病気のリスクと関わる遺伝子変異が長生きにも関連しているのは当然に思える。だが、見つかった変異の中には、思春期や妊娠年齢を遅らせるようなものまで存在していた。これは一体、何を意味しているのだろうか?

 一般的に、妊婦の高齢化は経済的な豊かさや教育によるものといわれる。経済的に豊かな国では寿命も延びるので、今回の発見にも経済発展による影響が考えられそうだ。だが、我が国でもそうであるように、妊婦の高齢化は少子化に結びつく。もしも思春期や妊娠の先送りが遺伝的なものであるなら、それは生物としては失敗、進化どころか退化ではないのだろうか? もし、そんな遺伝子が未来の世代にまで広まってしまったら――?


■進化とはいかなるものか

 この疑問について、オカルトにも生物学にも詳しい理学博士X氏に解説を求めた。X氏はまず、進化という言葉の使い方の誤りを指摘した。

 「進化というのは、世代交代に伴って起こる集団全体の変化全般を指す言葉です。見た目や機能の変化はもちろん、遺伝子のちょっとした変化だけでも、これは進化です。気をつけてほしいのは、その変化に対する評価は、また別の問題だということです。例えば、深海に適応して進化した生物の目が見えなくなるような、一般的に退化といわれるような現象も進化なんですよ」

認知症や喫煙者の遺伝子が自然淘汰されていることが判明! 人類は今もバリバリ進化中、しかし絶滅を招く遺伝子変異も…!?の画像4画像は「Daily Mail」より引用

 進化という言葉は、良くも悪くもかなり適当に使われているとX氏は指摘する。その一例としてX氏が挙げたのは、国民的ゲーム・ポケットモンスターだ。

 「よく言われることですが、ポケモンにおける『進化』という言葉の使い方はちょっとおかしい。ポッポからピジョン、ピジョットなら『成長』だし、キャタピー、トランセル、バタフリーなら『変態』という言葉の方が合っています。生物学的には、同一個体に起こる変化は進化ではありません」

 だが、人々によく知られた言葉が別の意味を含んで変化していくことはよくある話だ。だいたい、「ピチューを成長させますか?」ならともかく、「ピカチュウを変態させますか?」と聞かれたら、いくら生物学的には正しかろうと「いいえ」を選びたくなる。

 「進化を考える上で重要なのは、見た目や機能に起きた変異が『環境に有利か不利か』のみです。性的な成熟を遅らせ、妊娠する年齢を上げるような変異が環境に適しているならば、人間もそのように“進化”するでしょう」

 たしかに現代の先進国においては、10代で子どもを産む女性よりも、30~40歳代で子どもを出産できる女性の方が『環境に適応している』ように思える。若いうちから出産できるような遺伝子より、30代以降の妊娠・出産に耐えられる遺伝子の方が現代生活には適しているとも考えられる。妊娠・出産年齢が高齢化して少子化になるのもまた、人間の進化の道ということなのだろうか。

 ともかく、今回の論文は人間の進化をリアルタイムに観察することが可能であるという事実を示した。これから、一体どのような「進化」が示されるのか。研究の行方を見守りたい。


参考:「Daily Mail」、「PLOS Biology」、「Nature」、ほか

文=吉井いつき

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

認知症や喫煙者の遺伝子が自然淘汰されていることが判明! 人類は今もバリバリ進化中、しかし絶滅を招く遺伝子変異も…!?のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル