奇習! 群衆に紛れたパートナーを直感で捜索、もし外れたら…!? 北九州に実在した不思議な“婚姻試練”の実態

【日本奇習紀行シリーズ】 北九州

 一般に「結婚」というと、お互いの両親や縁者に対する挨拶からはじまり、挙式に新居探しに各種届出と、実に様々なことをこなさなくてはならないものだが、そうした事柄の大半は、「こなす」ことで自然と消化していくことが可能なものである。しかしかつてこの国においては、決して簡単には「こなす」ことのできない「試練」が与えられる形での結婚も、少なからず存在していたものだった。


「まあ、なにせ数多いる人間の中から、直感で相手を見つけなくちゃならないわけだからね。そりゃあ難しいもんだよ」


 かつて北九州地方のとある地域に存在していたという、何とも奇妙な婚姻の儀式についてそう証言するのは、現在も当地からさほど離れてはいない海沿いの小さな町に住む・鹿沼良蔵さん(仮名・80)。鹿沼さんの話によると、彼が生まれ育ったというその地域で行われていたというその儀式においては、必ずしも意中の男女が結ばれるわけではないのだという。


「あのね、なにが面白いかって、結婚式当日になるとね、男も女も、みんな揃いの白装束で、狐とも狸ともつかない、なんだか不思議なお面みたいなのをつけるのよ。それで神社の境内に集まるとね、みんながみんな、花嫁と花婿のフリをするの。それで、当の花嫁花婿はね、その中から本物の自分の相手を見つけるっていう」

奇習! 群衆に紛れたパートナーを直感で捜索、もし外れたら…!? 北九州に実在した不思議な婚姻試練の実態の画像2画像は「Thinkstock」より引用

 大人から子どもまで、地域の全員が同じお面と白装束といういでたちで勢ぞろいし、花嫁と花婿は、その群集の中に紛れ込んでいる、お互いのパートナーを当てることを強いられる。そこに集っている人々は、一切言葉を発しない決まりとなっているものの、それぞれが身振り手振りで「我こそが本物」と言わんばかりの挙動を見せることから、その難易度は想像以上のものになるのだそうだ。


「当然ね、そういう状況なもんだから、見事に当てられる人ばかりじゃないのよ。「この人だ!」って思っても、お面をとったら全然違う人だったっていうことだって当たり前のようにある。けど、そこで間違えてしまうとね、結婚することはできない決りになってて。まあ、1年後には再挑戦できることにはなってるけれども、大抵そういう男女は別れちまうよ(苦笑)」


 たしかに、お互いが深く愛し合う関係であれば、たとえどんなにわかりづらい状況であったとしても、自ずとその相手が見つかるものなのかもしれないが、とはいえ、鹿沼さんの話によると、その正解率はほぼ半分とのこと。愛する相手との結婚を夢見る若い男女にとっては、思いのほか厳しい試練と言えそうだ。

文・取材=戸叶和男

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