覚醒剤に変えられる液体とは? 超未来型の麻薬密輸“分子的密輸”事件の科学的真相!

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 しかし、麻薬のビジネスというのは、ヤクザや半グレといった犯罪組織のビジネスであり、分子的に構造を変えて持ち込んだところで、元の麻薬に戻して、密売し、それを収益化しなくては意味がないものです。その時点ではやっぱり違法も違法なので、分子的密輸もブラックビジネスであることはナニも変わりはありません

 大ヒットしたアメリカのテレビドラマ「ブレイキングバッド」でも、主人公の化学者がどれだけ高品位の麻薬を作っても、ソレを末端まで売りさばく犯罪組織がなければ収益を上げることができないという当たり前の事実を描いています。

 実際のところ、覚醒剤などの多くの麻薬は分子構造も簡単なので、普通の応用化学などの卒業した化学者であれば、合成するのはそれほど難しくありません。しかし、長い時間をかけて専門知識を習得した人にとって、わざわざ犯罪組織にどっぷり浸かってまで、無期懲役になるような犯罪行為をする利点は見当たりません。犯罪組織が麻薬を日本国内で作る組織を持たないのは、そんな当たり前の理由からなのです。

 しかし現在、理系学生の就職難、雇用激減などで、生活困窮者も出ています。日本も専門知識を持った人たちがその知識を生かす場のない国になりつつあります。

 中国やアメリカのマフィアは、そうした行き場の無い、貧しい化学者を迎え入れて、分子的密輸のための化合物を合成させているわけです。日本でもそのうちこのような事態が起こり得るのではないかと自分は危惧しています。
 
 後編では、もう少し話を掘り下げたいと思います。分子的密輸はここ最近のではなく、MDMAの密輸などで海外での摘発例もあるらしいので、そもそもどうして見つかったのか? とか……がたぶんどうせ、大半の人が面白くないといって読むのを辞めそうな……(笑)。でも読んでね!

(文=くられ)

●くられ

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 添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。ひっそり大学で先生をしてたりもする。新刊『アリエナイ理科ノ大事典』(三才ブックス)が大好評発売中。また、WEBや雑誌での薬と毒関連の連載をまとめた『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』(三才ブックス)も好評発売中。週刊少年ジャンプ連載中の『Dr.STONE』にて科学監修。

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