20世紀に生きる全裸族の記録映画が深すぎる! 性器を布で隠し、キリン狩り…「ブッシュマン・シリーズ」ニカウさんの封印映画!

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 さて、まだ狩りに出られない子供たちは、オモチャのような小さな弓矢を使い、小動物や昆虫を的に狩りの練習をする。地をはう甲虫を射て遊ぶ子供が映し出される。よろよろと懸命に逃げながら、刺さる矢が増えていきヤマアラシのようになった甲虫が哀れだが、彼こそが少年時代のニカウさんだ! 撮影時は13歳前後と思われる。この甲虫を一心不乱にプスプスやっている少年が、将来は裸族の狩人ではなく世界的スターになるとは、この時点ではお釈迦様でもわかるまい。

 キリンの肉は村で各家庭に分配され、その夜はハンターの報告談で宴が開催され盛り上がる。彼らは狩りに失敗しても、それを報告しないし、相手も聞かない。結果だけを受け止め、仲間の失敗を責める者は誰もいないのだ。老人は昔を思い出し、まだ狩りに出ていない子供たちは興味津々に聞き入る。こうして狩りの話は次の世代へと語り継がれていくのである。終わり。

 ニカウさん(本名ザウ・ゴマ)は、実はカラハリ砂漠があるナミビアの俳優(現地部族には所属)で、小学校の校庭で本業の庭師をしているところを映画関係者からスカウトされた。狩人になっていなかったとは、練習台にされた甲虫は絶対アノ世で怒っているぞ。

「ブッシュマン・シリーズ」の後、ニカウさんは香港映画に出演したが、これがとってもカルト。『ブッシュマン キョンシー アフリカへ行く』(91年)では、ブルース・リーの霊が憑依したニカウさんが部族の子供を奴隷売買のためさらおうとする白人を「アチョー!」とやっつけ、飛行機から降って来たキョンシーがブードゥーの巨人ゾンビと戦うハチャメチャ・ムービー。『ブッシュマン ニカウさん中国へ行く』(94年)では、中国のマラソン大会に出場しパンダ密猟者を追う! 何に出演しても面白い人だ。

 2003年、ニカウさんは薪を拾いに出たまま帰宅せず、野外で遺体となって発見された。死因は結核説が有力で、享年59歳だった(推定だけど)。彼の本来の姿が見られる『20世紀に生きる全裸族 ザ・ハンターズ』は、ブルーレイディスク化してほしい1本である。

■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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