第3回『エンドレスエイトの驚愕』 著者インタビュー
「『涼宮ハルヒの憂鬱』エンドレスエイトはデュシャンの100倍すごい、世界に誇るアートだ!」 哲学者・三浦俊彦教授インタビュー! 9種類のループ解説も!
■ハルヒ、長門以外がループを引き起こす可能性

――それを言ったらおしまいです……。
三浦 だって劇中劇『朝比奈ミクルの冒険 Episode:00』(※2)がそうじゃないですか。撮影中に起こってしまった異常現象が現実だということをハルヒに気づかれると現実世界が大変なことになってしまうので、エンドロールのナレーションで「この物語はフィクションであり……」とハルヒに言わせていますよね。同じように、EEがとんでもないつくりになっているのは「このループは本当には起こっていないフィクションだから」という解釈もまた可能です。であれば、EEが非現実的な、ダメなつくりになっている謎が解けるわけですよ。こういうふうに、すべてがぴったり解釈できるのが『ハルヒ』という作品のすごいところです。
(※2)第一期第1話、第二期第25話。ハルヒが“超監督”として文化祭用に作った稚拙な自主制作映画が劇中劇として放映された。ちなみに第一期のオープニングクレジットでは、現実のスタッフクレジットに混じって「超監督・涼宮ハルヒ」とあり、アニメ作品である『涼宮ハルヒの憂鬱』自体が(『朝比奈ミクルの冒険』と同様に)ハルヒが創造した壮大なフィクションであることが示唆されている――という解釈も可能。
――本書を読み終えると、ちゃんと話題の収束が長門の「人間化」、つまり「長門は素敵」みたいな読後感に包まれます。
三浦 でも実は本書を長門で終わらせるのは無難な線であって、本当は長門から違うキャラクターに主体が移行したうえでループする可能性もあるんですよ。キョンバージョンとか、みくるバージョンとか。大人バージョンの朝比奈みくるは、きっと“初体験”を済ませていますからね。

――その“初体験”とは、本書で言及している「グルジエフ時間(※3)」のことですね(笑)。
(※3)「『私は意識する』と自覚されているがゆえに当人に主観的な内面が灯っている時間」のこと。人間原理では「私」は常にそのような時間に存在する。長門はどこかの時点でこの「グルジエフ時間」に覚醒し、単なる情報統合思念体からより高次な人間的な意識主体になったのではないか、という説が本書最終章で言及される。
三浦 高校生のみくるは「グルジエフ時間」にまだ無自覚ですが、未来を知っている大人バージョンのみくるは「グルジエフ時間」を自覚している。ですから大人のみくるがループを引き起こしているかもしれません。でもハルヒと長門以外が作り出したループの可能性をほのめかした時点で、残念ながらページ数が限界に達しました(笑)。
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