【目黒虐待死事件】5歳児を虐待し続けた父親、見過ごし続けた母親、その理由と教訓とは?

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――第一線の記者やライター、ジャーナリストなどが取材・執筆する“不都合な真実をえぐり出す”ネットメディア「Real News On-line!(リア・ニュー!:RNO)」より転載。


■結愛さんは今年3月、数々の虐待の果てに死亡

 虐待され衰弱死した5歳の女の子が、亡くなる10日前まで書いていたというノートの内容を警視庁が公表。そこには、虐待されながら、両親に対して「ゆるしてください」と必死に訴える“ひらがな”が並んでいた。衰弱して亡くなった女の子は、船戸結愛(ゆあ)さん(当時5)。今年3月、東京都目黒区で、両親から虐待を受けて亡くなった事件で、今月6日に警視庁は、保護責任者遺棄致死の疑いで、既に傷害容疑逮捕・起訴されいる無職の父親・船戸雄大容疑者(33)と母親の船戸優里容疑者(25)を同容疑で新たに逮捕した。

 船戸雄大容疑者と船戸優里容疑者は今年1月ごろから長女の結愛さんに対し、十分な食事を与えずに殴ったほか、嘔吐し極度に衰弱しても虐待の事実を隠すために病院に連れて行かず、3月2日に低栄養状態などが原因で起きた肺炎による敗血症で死亡させた疑いが持たれている。

 捜査関係者によると、船戸容疑者らは、結愛さんに1日1食しか与えず、死亡した時の体重は同年代の平均よりも5㌔以上も少ない12.2キロだったという。


■虐待し続けた父親、見過ごし続けた母親、その理由とは?

 なぜ結愛さんは、このような虐待を受けたのか。一因として考えられるのが、船戸雄大容疑者の実子ではなかったということだ。両親は、実子である結愛さんの弟(1)とは一緒に寝ていたが、船戸雄大容疑者の実子ではない結愛さんだけは、別の部屋で寝かされていたという。

 調べに対して船戸雄大容疑者は「しつけとしてやっていた」、船戸優里容疑者は「虐待を知りつつ見過ごしていた」と供述しているという。

 捜査関係者によると、船戸雄大容疑者は昨年12月に職探しのため、香川県善通寺市から一人で目黒区へ転居。その後、船戸優里容疑者と結愛さん、弟の3人は今年1月23日に転居し、一家4人での暮らしが始まったという。

 だが、次第に船戸雄大容疑者は、結愛さんが太っているとして減量を命じるようになり、毎朝体重を測らせ、食事も制限。朝食はスープのみ、昼食は茶わんに3分の1程度のご飯とみそ汁、晩ご飯は茶わん半分程度のご飯という日が続き、1日1食の日もあったという。決まりごとを守らなかった時には、「しつけ」と称して水をかけたり殴ったりしていたようだ。

 さらに、結愛さんは驚くべき生活を強いられていた。自ら目覚まし時計をセットして毎朝午前4時ごろに起床。船戸雄大容疑者に命じられ、平仮名を書く練習をさせられていたという。そして、亡くなる10日前まで書いていたというそのノートが発見、公開された。以下が、そこに記されていた内容の一部だ。

もうパパとママにいわれなくても
しっかりとじぶんから きょうよりも もっともっと あしたはできるようにするから
もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします

ほんとうにもう おなじことはしません ゆるして
きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことを なおします

これまでどれだけあほみたいにあそぶって あほみたいだからやめるので
もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします

あしたのあさはぜったいにやるんだとおもって いっしょうけんめいやる やるぞ

 とても、5歳児が書いたとは思えない内容である。船戸雄大容疑者と船戸優里容疑者が、結愛さんに対してどう接し、そして、それを結愛さんがどう受け止めていたのかが、うかがい知れる内容だ。文章を見る限り結愛さんは、遊ぶことは「あほ」だと教えられていたことが見て取れる。5歳児と言えば、遊ぶのが仕事であり、遊ぶ中で様々なことを学んでいくのではないのか。多くの人は、これが「しつけ」とは到底理解できないだろう。

 なぜ、このような悲しい事件は起きてしまったのだろうか。

 実は、結愛さんは以前住んでいた香川県で2016年と17年に計2回、同県の児童相談所で一時保護されている。しかし、一家が今年1月に目黒区に転居後、引き継ぎを受けた品川児童相談所が2月9日に家庭訪問したものの、船戸優里容疑者とは会えたが、結愛さんには会えなかったのだという。

 本誌解説委員でジャーナリストの竹村明氏は、「児童相談所が転居したことに対応しきれなかったのではないか」と指摘する。


■「しつけだった」と主張する両親の虐待をゆるすな

「今回の事件は、児童相談所が『転居』ということに対応しきれなかったことが浮き彫りとなった事件と言えるのではないでしょうか。児童虐待が起きている家庭の場合、複数回転居している事例も少なくありません。一時保護をしたり家庭訪問したりするほか、『転居』が起きた時こそそれをリスクと捉えて対応することが肝心なのです。残念ながら、今回の事件ではその点で不十分だったと言えると思います」

 また、「“しつけ”とは何なのかを改めて考える必要がある」と警鐘を鳴らす。

「児童虐待の加害者の多くは、今回の容疑者のように『しつけだった』と主張します。しかし、暴力を伴うしつけは子供の成長には繋がらないということを、みんなが改めて理解する必要があると思います。児童相談所がもっと踏み込み、警察と連携を取るなどの対応ができなかったのか、今回の事件を教訓に命を守るための新たな対応の検討が求められます」(前出・竹村氏)

 東京都や香川県によると、今回の事件について対応に問題がなかったか、再発防止策を含めて情報共有しながら調査し、今年度中に一つの報告書にまとめる予定だとしている。東京都の担当者は「香川県から引き継ぎを受けてから事案発生までの経緯を、しっかりと検証していく」と話している。

 残念ながら、現代社会において児童虐待事件は数多くあり、決して珍しくはない。どれも許されるべきものではなく、そこには重く残虐な事実が横たわってはいるが、ひとたびニュースとして文字となってしまえば、その事実は情報と化し、埋もれていく。しかし、結愛さんが書いたこのノートは、文字としてのニュース以上に、この事件の重みを伝え、多くの人々の心に訴えかけているように思えてならない。

 結愛さんは、このノートをどんな気持ちで書いただろうか。結愛さんが残してくれたこの文章を、私たちは決して無駄にしてはいけない。
(文◎朝比奈ゆう)

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