科学誌ネイチャーが占いの“論文”を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像1イメージ画像;「Thinkstock」より

 英誌「ネイチャー(Nature)」といえば、世界で最も権威ある科学雑誌の一つに数えられ、そこに論文が掲載されることは、科学者にとって最高の名誉とされる。実はその雑誌に、「占星術」に関する論文が掲載されたことがあると知ったら、きっと誰もが驚くはずだ。しかもその内容は、大真面目に占星術の原理を検証しようと試みるものだった。このような主張が本当に正しいのか、筆者も検証してみたので結果を報告したい。


■ネイチャーに掲載された占星術論文がヤバい!

 問題の論文は、米国の生物学者であるドナルド・A・ウィンザー氏が投稿したもので、1974年4月にネイチャーに掲載された。その表題はズバリ「分子生物学者はおひつじ座で生まれている(Molecular biologists come of age in Aries)」というもの。論文の要旨も、ほぼ同じく「分子生物学者は他のどの星座よりもおひつじ座で多く生まれているようだ」となっている。つまり、「生まれた日によって人間の性格や職業の傾向が決まる」という占星術的主張を証明しようというのだ。

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像2画像は「Nature」より引用

 ウィンザー氏は分子生物学者の生年月日のデータを集め、各人が生まれた星座を算出、統計学的手法によって何座生まれが多いか調査した。その結果、なんと「おひつじ座生まれが多い」という結論に達したのだ。

 自然科学の成り立ちに詳しい人ほど、この論文の趣旨に驚くだろう。というのも、近代自然科学は、占星術を否定するところから出発している側面があるからだ。従って、今日の科学者にとって占星術は、超常現象の類よりもずっと認め難く、拒絶意識が強いものの1つなのだ。その占星術にかかわる論文を、厳しい審査を経て世界で最も権威ある科学雑誌が掲載したのだから、これはもう研究の価値が認められたという大事件だったといえる。

 ウィンザー氏の一件がもたらした反響は実に大きく、「こんな論文が許されるなら……」と、同年12月の同誌には「科学ジャーナリストは魚座生まれが多い」という論文まで掲載されている。著者は、なんとネイチャーのシニアエディターだったジョン・グリビン氏だ。

■論文は正しいのか? 筆者が独自検証!

 論文掲載の是非はともかく、果たしてウィンザー氏のような主張は、本当に科学的法則として成り立つものなのだろうか? 疑問を抱いた筆者は、実際に分子生物学者の出生データを集めて、独自検証を試みた。幸いにも、ソフトウエア開発歴25年の経験からデータの解析は得意分野だ。そこで、Wikipedia(日本語版)の「Category:日本の分子生物学者」に掲載されている数十名の著名分子生物学者のリストから、生年月日が明らかになっている人物を抽出した。まず、生まれ月別に集計したデータが、下記の通りとなる。

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像3画像提供:百瀬直也

 上記のように、合計49人中、7月と9月が最多の6人で、5月生まれが最少の1人という結果となった。表の備考欄にも書いているが、7~9月は日本で統計的に出産が多い期間であり、それに対応した結果といえるかもしれない。

 次に、49人の出生星座を求めたところ、下記の通りとなった。これを見ると、最多はてんびん座の7人となり、最少はふたご座とうお座がタイで2人となった。肝心のおひつじ座は5人で、平均の4.08人よりも若干高いだけという結果となった。

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像4画像提供:百瀬直也

 次に世界の分子生物学者を対象にして、同様の調査を行うことにした。ここでは61人の出生データを集めることができ、まず出生月ごとにまとめたのが下記の表だ。

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像5画像提供:百瀬直也

 このように、最多は6月の12人となり、最少は8月と1月の2人となった。世界の月別出生データというものが見つけられなかったが、米国の一般人の統計を見ると、逆に8月が多く、2月は少ない傾向がある。次に、星座別の集計を行うと以下のようになる。

科学誌ネイチャーが占いの論文を掲載! 分子生物学者には本当に牡羊座が多いのか… 独自検証で衝撃結果に!の画像6画像提供:百瀬直也

 この結果を見ると、肝心のおひつじ座生まれは期待値(確率的見地から算定した平均値)が5.08人のところ4人と、若干少なめ。最多はてんびん座の11人で、最少はみずがめ座の1人となった。このように、ウィンザー氏の論文の「分子生物学者は他のどの星座よりもおひつじ座で多く生まれているようだ」という主張は、筆者の調査ではまったく異なる結果となった。

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