【実話怪談】「いやあぁっ!」毎晩丑三つ時に現れる猫の正体と生霊の執念! 本村さんの恐怖体験

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catg_04.jpg画像は「Thinkstock」より引用

 仄暗い視界の真ん中に、男の顔があり、いきなり目が合ってしまった。

 いわゆる猫ッ毛の蓬髪を生やした小太りの中年男。その胴体から切り離された生首を、晶子さんは両手で持っていたのである。

 それは、ニヤリと笑いかけてきたかと思うと、嬉しそうに啼いた。

「なぁー」
「いやあぁっ!」

 晶子さんは悲鳴をあげて両手を振り回した。

 男の生首がボールのようにポーンと宙を飛び、部屋の壁に当たって厭な音を立てた。そして、部屋の隅の暗がりへ、コロコロと転がっていった。

 恐怖と興奮で息を切らしながら晶子さんは上半身を起こして、それが転がっていった方を見つめた。本棚の陰になっていて、目を凝らしても、黒い闇が澱んでいるばかりでよくわからない。

 ――あの顔には、見覚えがある。

 晶子さんはさきほど見たばかりの記憶を反芻した。

 あの目鼻立ちと猫毛の髪質、丸く肥えた頬の感じ。最後に見たときからだいぶ歳をとっているが、社会人になりたての頃からつい数年までに長きにわたり自分を追い回した、憎いあいつに違いなかった。

 あの男に出会ったのは、就職したばかりの頃だった。当時、晶子さんは23歳になったばかり。新人研修を終えて配属された職場に、彼女より数カ月早く入社した同年輩の男性スタッフがいた。彼は最初、遠慮がちに話しかけてきて、社内のことをあれこれと教えてくれた。晶子さんは彼の親切には感謝し、感じよく振る舞ってはいたが、それだけだった。特別な感情を彼に対して抱くことはなかったのである。

 けれども、この同僚の方は違った。彼は晶子さんに想いを告白し、彼女が交際を断ると、晶子さんについて根も葉もない下品な噂を社内に流した。

 そして同情するふりをして、再度、言い寄ってきた。

 しかし、彼を振ってからたいして間をおかずに厭らしい噂が流れたことから、晶子さんは当初から彼を疑っていた。実際、彼女にすげなく断られると、彼は噂の出所が自分であると自ら認めたのだった。

 その後も執拗な嫌がらせが続き、晶子さんはせっかく入った会社を辞めた。

 ところでこれで終わらなかった。むしろそれは悪夢の始まりに過ぎず、その後も男は彼女につきまとい続けた。転職、転勤、引っ越しを繰り返して、晶子さんの生活と経済は破壊された。20代と30代前半の貴重な時期を男から逃げ回ることに費やしたことが彼女に与えたダメージは、はかり知れない。

 今の職場と住居に移ってから男の攻撃が止んだ。平穏だったこの3年数カ月で、ようやく自分の人生を取り戻せたのだ。

 しばらくして、転がっていった方を晶子さんが確認しに行くと、そこにあるはずの男の頭は影も形も無かった。

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