赤ちゃんの時の記憶は消えていなかった事が判明! 誰でも脳にレーザー刺激で蘇る… 常識崩壊!

■幼児期の体験は忘れ去られてはいない

 この“恐怖体験”を、幼いマウスは本当にきれいさっぱり忘れ去ってしまっているのだろうか? 研究チームは光遺伝学(optogenetics)という生物の神経回路機能を調べるために光でタンパク質を制御する手法を用いて、幼いマウスが本当に“恐怖体験”を忘れているのかどうかを検証した。

 最初の実験と同じくボックスの中で幼いマウスの足に電気ショックを与えたのだが、案の定、マウスはこの“恐怖体験”をすぐに忘れた。

 マウスの脳で“恐怖体験”を処理している脳の部位に海馬の歯状回(しじょうかい、dentate gyrus)がある。研究チームはマウスの脳のこの部位をレーザー光で刺激すると、忘れていた“恐怖体験”をマウスが思い出し、恐怖で“固まって”しまうことを発見した。

赤ちゃんの時の記憶は消えていなかった事が判明! 誰でも脳にレーザー刺激で蘇る… 常識崩壊!の画像3Cell Press」の記事より

 さらに最初の“恐怖との対面”から15日後、30日後、90日後のいずれの時点でも歯状回にレーザー光を当てることで“恐怖体験”がよみがえってきたのである。つまり幼児期健忘症の状態にあっても体験したことを忘れ去っているわけではなく、普通の状態では思い出すのがきわめて難しいものの、どこかに記憶として保存されていることが判明したのだ。

 マウスでの実験をそのまま人間に適用するのはいささか性急ではあるが、我々もまた完全に忘れ去っていると思われた3歳以前の記憶が脳のどこかに保存されているのかもしれない。そして将来の科学技術の発達によって脳の特定の部位を安全かつ正確に刺激することでその記憶がよみがえってくるとすれば驚くばかりだ。こうしたことが技術的に可能になった暁には、はたしてアナタは幼少期の記憶を思い出してみたいだろうか。
(文=仲田しんじ)


参考:「Science Alert」、「The Scientist」、「Cell Press」、ほか

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