カルト映画レビュー 第2回

宗教的要素が薄すぎ? 天理教のソウルフード「カレー」がヒーローになったアニメ『カレーファイブ』のぬるさ

●ぬるすぎる設定とカレーにこだわったワケ

 そして、敵はムダ星人の兄弟。ムダが大好きで、好き嫌いの激しい、わがままな心の持ち主。地球では洞窟に住んでいる。様々な手段で自分たちの食欲を満たすために暴れまわる。ムダキングZという巨大ロボットまで持っている。しかしカレーファイブによって毎回倒され、空の向こうに消えていく。

 実は、このムダ星人には衝撃の秘密がある。

(※※ここからはネタバレになるため、知りたくない方は飛ばしてください※※)

 ムダ星人の正式名称はムダナンテネーンダー星人という、食料を隅々まで食し、“ムダにしない”星人であったことが最終回になって判明する。しかし、好き嫌いの激しいムダ星人兄弟は、家出をして宇宙を荒らしまわっていたのであった。心配したムダ星人妹の作戦により、母親の味であるカレーライスを食べて改心し、ムダ星人は無事、家に連れ戻されることになった。

(ネタバレおわり)


 なんだ、この脱力な最終決戦の展開は。ムダ星人の設定に限らず、すべてがぬるい。先に指摘したように、カレーファイブを名乗っている割にはカレーファイブのメンバーがカレーを知らなかったりと、設定もぬるい(にもかかわらず敵のムダ星人の母の味がカレーライス)。

 そして、演出もゆるーい感じだ。挿入歌として「カレー音頭」という歌があるが、今の時代に音頭とは、これもまたぬるい。すべてがぬるい。おそらく、指摘されなければ、これが天理教の手によって作られた宗教アニメだとは誰も気づかないだろう。

「カレー音頭」振り付け(天理教道友社公式YouTubeチャンネル「DOYUSHAVIDEO」より)


 じゃあ、どこが宗教アニメなのか? と疑問を持った人も多いのではないだろうか。例えば同じ宗教ヒーローモノ作品であるキリスト教福音派の『バイブルマン』シリーズのように、主人公が聖書の教えを口にしながら戦う訳でもないし、ワールドメイトの『ミラクルサイキッカーセイザン』のように敵を倒した後に神に祈るわけでもない。

 これらの作品に比べたら、はっきり言って、わかりやすい宗教的要素は薄い(唯一、マハカリー博士が食材は神様の恵みであり、感謝を神様に捧げることを力説するシーンなどに、一応、宗教的な要素が見て取れることは取れるが……)。

 そもそも、まぜカレーが題材なのか? 一応これには理由がある。

 天理教は年に一度、天理市で「こどもおぢばがえり」というイベントを開催している(作中ではカレーを食べる子どもたちの実写映像が挿入される)。「こどもおぢばがえり」では、子どもたちにカレーを振る舞うのが恒例行事となっているそうだ。しかも、カレーはおかわり自由なんだとか。天理教の信者にとってのソウルフードが、カレーなのである。そして、それを具現化したのがカレーファイブなのだろう。

 カレーはさまざまな食材が協力しあって味を作り上げている。このカレーのあり方こそ、カレーファイブの団結のしるしなのだ。

「宗教アニメは教義でガチガチに固められている」

 そういう宗教アニメへの思い込みを破壊するために、『カレーファイブ』は最適な作品だと思う。

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文=かに三匹

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