都立中央図書館にはなぜ蔵書が少ないのか? 107冊のうちたった3冊… 図書館に質問してみた!

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 戸川昌子、その髪形もさることながらベストセラー小説家としても、シャンソン歌手としても才気溢れる人物だった。その戸川昌子の著作を調べようと、広尾の都立中央図書館を訪れた。検索をかけたところ、著作数は全部で107件、ところが中央図書館にあるのは『近代日本の女性史(3)華麗なる美の創造』(集英社)など3点だけ。『大いなる幻影』『猟人日記』(共に講談社ほか)などの代表作さえ読めない。

 都立中央図書館は貸し出しがなく、図書館内だけで閲覧できるシステムだが、残りは同じく都立の多摩図書館から取り寄せてもらい中央図書館に届くのを待たなければならない。その日に現物を確認できるのは107点中たった3点しかないというのは、調べ物をするのは暇人だけだとでもいいたいのだろうか。非常に不便極まりない。その上、取り寄せには時間がかかり、届いた10冊以上の本を一週間以内に読み終わらなければならないという期限付きだ。

都立中央図書館にはなぜ蔵書が少ないのか? 107冊のうちたった3冊… 図書館に質問してみた!の画像1画像は「東京都立図書館」より引用

 そもそも中央図書館は小説の類はだいぶ扱いが悪い。新刊小説の棚はオフィスによくある書類棚と同じ大きさの棚が2つしか設置されていない。並べていない新刊小説は地下の書庫に保管されているということだが、新刊棚に並べられずひと目につかないようにひっそりと眠っている新刊にどんな意味があるのか。採光の良かった閲覧席をわざわざなくしてまでオリンピック関連のおざなりな展示を行うならば、利用者の多い新刊小説の棚をその一階フロアに増やすべきではないのか。

 中央図書館に率直に質問を投げかけた。「10年以上前文学資料に関しては多摩図書館に集めようという動きがあったためそのときの名残ではないか」という解答があった。しかし都立中央図書館の蔵書大量破棄問題が2005年頃に起こった(※図書館問題研究会のお話から引用)あとの一時的な処置にしては年月がたちすぎている。

 

都立中央図書館にはなぜ蔵書が少ないのか? 107冊のうちたった3冊… 図書館に質問してみた!の画像2イメージ画像は「Thinkstock」より引用

 都立図書館の変遷を聞くうちに蔵書方針に大きな問題が潜んでいることに気がついた。2002年に日比谷、中央、多摩の都立図書館3館で資料のダブリがないよう共同運営をしはじめたという話だが、都立日比谷図書館は2009年に閉館している。(現在は千代田区運営の日比谷図書文化館)それにもかかわらず中央図書館の所蔵方針は大きく変わっていないのだという。都心に2館あったはずの図書館が1館だけになり、その1館は古い方針のまま主な蔵書を多摩図書館にまかせている。これでは利用者が不便を感じるのも当たり前のことだ。廃止した図書館のことを考慮に入れず偏った運営をそのまま続けることが間違いなのではないだろうか。

 中央図書館は、2005年以来、カウンター職員は委託になり派遣ばかりになっている。おかげで図書に関する質問は近くにいる職員に聞いてもわからない場合も。一昨年から食堂も直接運営から委託業者の入札制になったためサービスも低下気味。今年度は委託業者が見つからず、一時休止していた事実もある。新聞閲覧コーナーを移動させてまで設置した喫茶室も、同じく一時休止している体たらく。

 資料として図書の保管はもちろん重要だが、図書館で調べ物がしやすい、さまざま本が読めるという図書館本来の目的を都立図書館は忘れているのではないだろうか。利用者の利便性はあと回しという体制に、はなはだ疑問をかんじざるを得ない。

文=小手平走歌

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