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画像は、「NaijaLoaded」より

 ナイジェリアでは、イスラム教徒の遊牧民「フラニ族」とキリスト教徒の農民が、土地を巡って衝突している。フラニ族による虐殺行為の犠牲者は子どもや女性、老人が多く、今年に入って6千人を超えるほどに膨れ上がっているという報告もある。

 ベヌエ州では今年1月、フラニ族と思われる遊牧民がなたを持って農家を襲撃し、72人が死亡した。同州知事によると、新しい放牧規制法の施行に遊牧民が反発し、襲撃事件へと発展したという。一方、牧畜団体の代表は、新法は遊牧民への相談なしに一方的に施行されたと非難するものの、襲撃への関与を否定している。

 プラトー州でも今月1日の夜、フラニ族による襲撃事件が発生し、多くの農民が殺害された。この事件の悲惨な写真の数々がナイジェリアメディア「NaijaLoaded」などで公開されている。顔面を切り刻まれた男性の遺体や手を切り裂かれた女性の遺体、毛布を被せられた遺体、焼け落ちた教会……。虐殺行為が残した傷跡は、生き残った農民たちに憎悪を感情をもたらすことだろう。フラニ族と農民の対立は深まるばかりだ。

 ナイジェリアは、かねてより「イスラム国」(IS)やタリバンと強いつながりのあるイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がテロ活動を展開する地域である。そうした中、フラニ族による農民襲撃は2013年頃から頻発し始め、ボコ・ハラムをもしのぐ脅威となりつつある。

 フラニ族と農民の衝突は宗教や民族の対立ではないとされる。土地を所有しないフラニ族は、常に家畜のエサを探し求めており、農民の所有する土地にも侵入するために対立が生じるのだ。ナイジェリアの人口増大が問題の根本にあるとも指摘される。その一方、フラニ族にイスラム過激派が合流して武装化を進めているという専門家の分析も多く、土地をめぐる抗争以上に複雑な様相を呈している。

 また、ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領はフラニ族出身のイスラム教徒であり、フラニ族による襲撃事件を放置してきたと批判されている。これに対してブハリ大統領は「現政権が治安の分野で顕著な成功を収めている」と反論。解決の糸口は見えないままだ。今後、近隣諸国へと難民問題やテロ問題が飛び火する可能性もある。ナイジェリアの情勢から今後も目が離せない。
(文=標葉実則)

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