小太りの中年男がJC（14）とセックス三昧！実録映画『家庭教師』が描く最悪のタブー！

――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り！

『家庭教師』（バンダイ・ミュージックエンタテインメント）

『家庭教師』
1987年製作
監督・脚本・主演／渡辺文樹

　児童に対する性犯罪は後を絶たない。中でも子供たちと接する機会が多い教師による行為は罪深く、それは家庭教師とて例外ではない。これは作品の全てが封印されている映画監督による、教え子に手を出した家庭教師をさりげなく肯定的に描いたノンフィクションである。

　以前このコラムで公開した「見たらきっと吐く――公安がマークした、渡辺文樹の恐るべき映像世界」（2014年10月27日）。簡単におさらいしておくと、出生地の福島県をベースに創作活動する渡辺文樹の作品は、国家権力・天皇・宗教などのタブーをテーマに選ぶため、全作品において正規版DVDは発売できず、彼の自主上映会では公安や右翼がうろついている。

　福島大学在学中に自主映画で腕を磨いた渡辺は、学生時代から続けている家庭教師の体験を生かし『家庭教師』（’87年）でデビュー。作品は次作『島国根性』と合わせて大手・アポロン音楽工業からビデオ化されたが、渡辺の作品が正規版ソフトとして発売されたのは結局その2作品だけだった。

　白昼に窓を開放して湯船に浸かっている男女。30代半ばの小太り中年男は、監督本人が演じる家庭教師・渡辺文太朗。どうやら教え子の母親と不倫中のようで、そこへダンナが急に帰宅。渡辺は慌てて衣服を抱えて窓から飛び出し、全裸で野原を走り去る。

　渡辺の日常は多忙だ。午前3時に熟睡している少年を「おらあ！」と荒っぽく叩き起こし、早朝にかけて4人もの子供の勉強を見て回る。午前7時半、渡辺は不登校の女子中学生の部屋に踏み込み、荒々しく布団をはぎ取る。抵抗するパジャマ姿のJCを部屋から引きずり出す際、胸をドサクサに紛れて掴むなどして、なんとか学校へ送り出す。

　ある日、母子が渡辺の下宿に訪れる。後妻だという母親は、前の学校で騒動を起こして不登校に陥った中2の恵美（めぐみ）の相談に来たのだ。恵美役の庄司真由美は、他の方言丸出しで滑舌の悪い素人役者とは違い、唯一と言ってよいほど台詞が聞き取れ（笑）、ルックスもよい。調べると、佐藤浩市主演『蜜月』（84年）などに出演していたプロだった。

　後日、恵美が1人で来た際、渡辺は同級生との彼女の初体験（渡辺が勝手に思い込んでいるだけ）を質問攻めする。「どこで……したの？　ふふっ」、「ん～、どうだった？」、「彼はかなりやらしい事もしたんだ？」。

「キモイなあ、渡辺」と思いきや、数日後に2人はラブホへ！　そうなる？　渡辺は「一緒に風呂入るか？」とかなんとか体に触れようと手を伸ばすが、その都度「やだ」と可愛く拒絶される。渡邊の妄想炸裂だ！　そして恵美は驚くべき告白をする。

恵美「私ね、初めてやったの小学生の頃なんだ。下宿人にやられた」。
渡辺「え～！　どんな人？」。
恵美「沖電気で仕事していた、なんか変な人。でもね、その人イカなかったから」。

　沖電気って（笑）。さらに恵美は「あのね～小6の時、授業中に先生が答えられない私の胸をポンポン叩いたりするの」。渡辺の我慢汁は限界に達した。具体的な絡みはなく、2人がベッドに入っているシーンで止まるが。