痛み、流血、残酷……時代を超えた血と暴力のアート『無惨絵展』がヤバイ! 江戸の巨匠から田島昭宇まで…! 

 漫画家でありながら、絶妙な一枚絵で魅了してくれるのは、独自のスタンスで作品を制作&発表し続ける駕籠真太郎。グロテスクだけど、ユーモアがありポップな作風を確立している。

 ベテラン勢で異色を放つのは、漫画家、ゲイ・エロティック・アーティストとして知られる田亀源五郎。描かれる人物の性別も超えて、無惨絵の地平は広がっていく。

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作・田亀源五郎

 メインビジュアルも担当した空山基は、昨年のディオール東京ショーで高さ11メートルの巨大セクシーロボットを発表して、ますます勢いにのる。欧米フェティッシュ・シーンでも根強いファンを持つ甲冑のフェティシズムをセクシーロボットのテクニックで描き出し、金属の光沢と鮮血のコントラストに新たなエロティシズムを見せてくれている。

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作・空山基

 日本在住の英国人イラストレーター、トレヴァーブラウンも日本のグロテスク表現を独自に消化して世界へと発信している重要作家である。

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作・Trevor Brown

 展示空間の中央には、女性の人形作家、愛実の作品が二体置かれている。泉鏡花の『琵琶伝』をモチーフとしており、芳年へのオマージュ作品には血糊が施されている。作家の持ち味である無惨さを反映する人形の表情をこそ、じっくりと鑑賞して欲しい。

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 さらに加えて、現代の作家たちの作品が並ぶ展示室で、鑑賞のワンポイントとなっているのが「靴」である。ひとつは、沙村広明、GENkの作品と組み合わされたバレエシューズ。もうひとつは、台湾の作家、の作品と関連づけられた纏足用の靴。ともに、空山基の個人的なコレクションだという。

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 平成の終わりが近づいている。そんな時代の変わり目を日本におけるグロテスク表現から眺めてみるとどうだろう。「痛み」「流血」「残酷」といった表現に敏感に反応してしまうことは人間としては健全なことだろう。では、そこで何を表現するのか、あるいは何を読み取るのか、そんな奥行きのある表現世界に触れることで、いま一度、自分の感性を試してみてはいかがだろうか。

(取材・文=ケロッピー前田)

展示情報

『無惨絵展 ~cruel and beauty~』

出展作家:旭 / 愛実 / 駕籠真太郎 / キジメッカ / GENk / 群 /沙村広明 / 空山基 / 多賀新 / 田亀源五郎 /田島昭宇 / Trevor Brown / 室井亜砂二 特別出展:月岡芳年無惨絵コレクション

会期:2019年2月19日(火)~ 3月3日(日)

会場:銀座ヴァニラ画廊

住所:東京都中央区銀座8-10-7 東成ビル地下2F

開館時間:平日 12:00~19:00 土日祝 12:00~17:00 会期中無休

入場料:500円 ※展示室AB共通 

オフィシャルサイト:https://www.vanilla-gallery.com/archives/2019/20190219ab.html

【概要】

ヴァニラ画廊では、無惨・残酷絵をテーマに、その情景の奥の妖しい美しさに焦点をあてた展示を開催いたします。 1866年に、芳幾と芳年により毒々しくも花開いた無惨絵。当時の事件などをモチーフにしたスキャンダラスな作品は話題になり、凄惨な作品にも関わらず、人々に大変な反響をもたらしました。

三島由紀夫は芳年の無惨絵について次のように述べています。

 「幕末動乱期を生き抜いてきた人間に投影した、苛烈な時代が物語られてゐる。これらには化制度以後の末期歌舞伎劇から、あとあとまでのこった招魂社の見世物にいたる、グロッタの集中的表現があり、おのれの生理と、時代の末梢神経の昂奮との幸福な一致におののく魂が見られる。」(『血の晩餐―大蘇芳年の芸術(別冊/番町書房)』より一部抜粋)

凄惨極まる時、それは究極の美と転じ、その美しさに代えがたい恍惚と抑圧からの解放を感じるからこそ、無惨・残酷というテーマは時代を超えて人々を魅了するのではないでしょうか。

今展示では、江戸川乱歩に「本当の”恐怖”、そして”美”がある」と言わしめた血みどろ絵師、月岡芳年のコレクションを始め、現代の作家による「無惨の美」を一堂に会します。その俯瞰からみえてくる「無惨・残酷絵」の持つ魔力をご堪能ください。

 

■ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

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1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動はTBS人気番組「クレイジージャーニー」で取り上げられ話題となる。著書に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための”最果て”世界の旅』(三才ブックス)や、本名の前田亮一名義による『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)など。新著の自叙伝的世界紀行『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)が2019年2月22日発売!
公式twitter:@keroppymaeda

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