【根本敬×ケロッピー前田】悪名高き伝説の雑誌『BURST』の復活を語り尽くす
【根本敬×ケロッピー前田】悪趣味、愛人5人、鬼畜、世紀末…悪名高き伝説の雑誌『BURST』の復活『バースト・ジェネレーション』を語る!
——採算度外視で遊んでいる雑誌、特に商業誌なんて、今はほぼ皆無に近いのではないでしょうか。
根本 そうそう。これは関係ないかもしれないけれど、シンコー・ミュージックの出していたヒップホップ専門誌『blast(ブラスト)』でも漫画1ページ連載をやらしてもらっていて、それはライムスターの佐々木士郎さん(現・宇多丸)が「何か異質なものを入れた方がいい」って編集部に言ってくれて、僕がやることになったんです。だから常に「異質でいよう!」と思って、ヒップホップ雑誌なのに「裸のラリーズ」のこととかを描いてて、「まあ、ウケはよくないだろう」とは思ってましたけれどね。
でも、やってよかったと思ったのは「BLACK SMOKER RECORDS」から声をかけられてミックスCDを出した時、「DJで来てください」と言われて地方に行くと、「『ガロ』は読んでないけど、『blast』は読んでました!」って言われてね。「ああ、最低限伝わればいい人たちには伝わってたんだ」と。部数は多く出てなくてもそれって大事なことで、伝わればいい人に伝わってればいいんです。
ケロッピー 『BURST』も、多い頃で部数は4万部くらいなので、決して多いとは言えないですからね。
根本 今は、イベントをやったとしても、確実に「伝えたい人間に伝える」って難しい時代ですよね。facebookやTwitterを使うか、フライヤーを使うか、それは呼びたい世代によって違うし。自分は現在60歳なんですが、20代から自分の少し上の世代までを全体的に伝えるにはどうしたらいいかを考えるよね。でも、どういうふうに伝えるべきかが難しくてね。1990年代は『BURST』『宝島』『ガロ』なんかのいくつかの雑誌の巻末の情報コーナーにポンと2~3行載っけておけば、集まるべき人は来たわけ。
ケロッピー あの頃はどの雑誌の読者にも若者も多かったですよね。特に「この雑誌だ!」となると、若者もその雑誌の文字を全部読んでましたから。
根本 そうそう、その雑誌に伝えるべき情報がちゃんと載っていたし、その伝達がわりとスムーズにいってたんですよね。
ケロッピー 僕も高校生時代には『宝島』とか大好きだったし、買ってきたその日に一文字残らず読んでました。そういう意味でいうと、『BURST』って雑誌は、出版界でギリギリ最後の《若者雑誌》でしたよね。その後の時代は、おじさん向けの雑誌が出てきて、若者向けの雑誌自体が商業的に成り立たなくなってきた。
——根本さんが『BURST』で最初に関わったのは、いつ頃からですか?
根本 アイカワタケシさんの連載『虫けら艦隊』の挿絵だったので、3号目くらいの時かな。
ケロッピー わりと早いうちにでしたよね。あのぐらいのページでも、色んな人に声をかけていた雑誌なんです。
根本 さっき『blast』の佐々木さんの話をしたけれど、『BURST』の中でどれだけ異質のものになろうとしても異質を成り立たせるのが難しかったって印象なんです。基本はアイカワさんの文章に対するイラストなんだけれども、僕の中では中途半端な仕事になってしまったような気持ちもあります。でも『BURST』で実験させてもらえたから、あのでっかい壁の絵(樹海『根本敬ゲルニカ計画』2018年)もできたんだと思いますね。
『BURST』は毎月失敗する場を与えてくれた。アイカワさんの連載が『虫けら艦隊』の後『北京のパー』ってCDレビューになったんですが、毎回毎回、たとえば「今月のテーマの『Velvet Underground & Nicoのデラックス・エディション』はよくない!」と言って、ギリギリで編集部に他のCDを買わせるんです。そうするとイラスト担当のこっちにも「ブライマル・スクリームのスペシャルエディション」が届くみたいな。そういうことにまでお金を使えて、実にイイ雑誌でしたねえ(笑)。
——今の出版界からは考えられない長閑な環境ですよね。
根本 公務員みたいに、子供にみせても恥ずかしくない仕事をしている人たちからみたら、僕らは卑しい仕事をしているわけですから、せめて試写状やサンプルCDがもらえるみたいな権益がないとやっていけないじゃない(笑)。
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