【根本敬×ケロッピー前田】悪趣味、愛人5人、鬼畜、世紀末…悪名高き伝説の雑誌『BURST』の復活『バースト・ジェネレーション』を語る!

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——そんな《芸術》と《生活》の狭間で、もう40年近くも生きていると。

根本 そうですね。だから続けるってことが大事ですよね。神戸の震災の時(※1995年1月17日)、僕が何をしてたかっていうと、テリー伊藤さんがまだ本名の伊藤輝夫名義でやっていた頃で、一緒に北へ行って、『お笑い北朝鮮』(宝島社刊/1993年)を出したばっかり。その当日は、新宿のホテルのいい部屋をとって、「亡命してきた元兵士に通訳をやらせて北朝鮮にイタズラ電話をかける」って企画をやろうとしていたんだけど、自分が朝外に出た時から様子がおかしく感じて。とにかく朝早い企画だったんですが、新宿駅に着いたら地震の情報がどんどん入ってきて、テリー伊藤さんも「これは洒落にならないよ」って言って。

 でも、結局はみんなで「仕事だから北朝鮮にイタズラ電話かけなきゃ」となりました。まあ、通訳の亡命してきた兵士もどうしようなくて、ポルノグッズとか作って猥褻事件で捕まって最終的に自殺したヤツなんだけどさ(笑)、それはいいにして、その人を通訳にして「セックスは月何回するんですか?」とか「オナニーはしますか?」なんて電話をかけさせたんです。とにかくその日はテレビを気にしながら1日中北朝鮮にイタズラ電話をしていましたね」

——詳しいことはわからないですが、とにかく危ない企画ですね……。

根本 限られた高級官僚しか電話を持っていなかった時代なので、どこで入手したかわからない電話帳を使ってかけていましたね。その時、「もうこの辺でいいだろう」ってことになって、仕事終わりにみんなで西陽を見ていたんだけれど、異様な美しさだった。狂ってましたね、あの日は。「あの時、こういう状況だから」って自粛するんじゃなくて、一生懸命イタズラ電話するのが自分たちの仕事だと思ってしていたんです。そういう、《使命感》みたいなものを持ってやっていましたよ。

ーー確かに、《使命感》というのは僕も納得できる部分ですね。東北の震災の時、僕はそこに取材で行くことを諦めて地下芸人の特集記事を作っていました。僕がやらないと、もう永遠に世に出ないような企画だと思ったので。

ケロッピー 僕は3.11の時でもあんまりそれに影響されたくないと思っていたし、影響されない立場をとることで世の中の変化がよりよく見えますね。『バースト・ジェネレーション』も去年出すはずだったのが諸事情で流れてしまって、また駄目かとなったんです。でも、なんとか出せました。

根本 これは、ほんのちょっとしたことなんだよね。でも、そういうことが今後の日本にどういう影響を与えるか、そこまでの問題です。

——確かに『バースト・ジェネレーション』のような雑誌が出るか出ないかで、文化的には大違いだと思います。ともすれば、現在は表現すること自体が表現者にとってリスクのあるような状況ですよね……。

根本 僕は『因果鉄道の旅』って本の電子書籍版を幻冬舎で出しているんだけれども、その契約書が凄いんですよ。「この本から何かトラブルが発生した時に、本社は一切関わらない」と明記されているんですよ。

——「アウトロー文庫」にしてはだいぶ腰が退けてますね(笑)。

根本 うん、とてもアウトローとは思えない。まあ、著者への対応としてはある意味アウトロー的だとは思うけれど(笑)、それをどう捉えるかだね。

——確かに。

ケロッピー 『バースト・ジェネレーション』の話に戻すと、懐古的に作る案もあったんですけれど、姫乃たまちゃんの表紙、内田裕也さんのインタビューができて、けっこう“攻めの姿勢”で作れたかなと思っているんです。

根本 まあ、懐古してもしょうがないですからね。あと、みんな勘違いしているかもしれませんけれど、『BURST』ってメジャー誌ですよ。5千円のイラストを描いても、源泉と振込手数料をきっちり版元が支払ってくれましたから。

ーーそこですか(笑)。でも、思えば、こういった雑誌がマイナーになったことが、世の中の変化なのかもしれませんね。『BURST』に載っているようないわゆる“革ジャン&イレズミの人たち”って、世界的にみたら、“どメジャー”だと思うんですよね。

ケロッピー 日本は若者の人数が減って、挙げ句に親の影響を受け過ぎたりしているから、本来は若者こそが新しい文化を受け入れるはずなのにそうならないんですよ。

——世の中が保守化してるとは思いますが、そういうカルチャーの部分にも顕著に出ているんですね。

ケロッピー 『BURST』の世代が子沢山だったら『BURST』ジュニアが誕生していたかもしれなかったんですけどね……。まぁ、子供を作るために雑誌を作っていたわけじゃないんですけれどね。その代わりに『バースト・ジェネレーション』を作ったというか(笑)。でも寿命も伸びているし、今で言う《若者》って何歳のことを指すんでしょうね。

根本 ホントですよね。自分が60歳になってみて、つくづくそう思いますよ。

ケロッピー だから、今回の『バースト・ジェネレーション』も、年齢で区切る媒体としては成立しないので、若い人からそれなりの年齢の人まで幅広い年齢層が読めるような雑誌にするっていうのもありました。

根本 とにかくそんな状況で『バースト・ジェネレーション』は創刊できたんだから、大したものだと思うよ。

ケロッピー ありがとうございます!

——次号の発売も決まったんですよね。

ケロッピー 5月発売予定です。次回からは根本さんにもきちんとパワーを注入していただきますよ。2月28日、3月1日、2日に東京キララ社のイベントスペース、両国RRRで公開編集会議を開催します。もちろん、根本さんにもご参加いただきます。さらに、2月26日には、Dommuneのネット配信番組『東京キララ社アワー』が『バースト・ジェネレーション』特集となります。

——公開編集会議で誌面の内容を事前に知らせてしまうことで盛り上げていこうという戦略も、ネット的ですよね。僕も編集会議に参加させてもらうので、使命感に打たれて頑張ろうと思います。本日はありがとうございました!

(文・写真=福田光睦・地下編集者/Modern Freaks Inc.代表 Twitter@mitutika

『バースト・ジェネレーション』【価格】2160円+税【発行・発売】東京キララ社

画像は「Amazon」より


■プロフィール

根本敬(ねもと・たかし)

1958年東京都目黒区生まれ。『月刊漫画ガロ』1981年9月号掲載「青春むせび泣き」で漫画家デビュー。以降「特殊漫画」の道を突き進み、漫画界の極北に位置する。漫画界のみならず、音楽界やアート業界にも熱烈な支持者やフォロワーを持つオルタナティブ界の最重要人物とされる。代表作に『生きる』(青林堂、1986年/青林工藝舎、2001年)、『天然』(青林堂、1988 / 水声社、1998)、『タケオの世界』、『豚小屋発犬小屋行き』(青林堂、1991年/青林工藝舎、2010年)、『ミクロの精子圏』、『未来精子ブラジル』など。「909/アノーマリー2」展(1995年/レントゲン藝術研究所/椹木野衣キュレーション)や「時代の体温」(1999年/世田谷美術館/東谷隆司キュレーション)などにも出展した。1993年に刊行した『因果鉄道の旅』(KKベストセラーズ、1993年/幻冬舎文庫、2010年)所収の「でも、やるんだよ!」は「ニッポン戦後サブカルチャー史」(NHK・Eテレ)で1990年代を牽引し大きく影響を与えた言葉として紹介された。

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動はTBS系の人気番組『クレイジージャーニー』で取り上げられ話題となる。著書に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための”最果て”世界の旅』(三才ブックス)や、本名の前田亮一名義による『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)など。新著の自叙伝的世界紀行『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)が2019年2月22日発売!

 

■イベント告知

●『バースト・ジェネレーション』公開編集会議3day
【会場】東京・両国「RRR」
〒130-0026 東京都墨田区両国1-3-9 ムラサワビル 3階 tel.03-6666-9052
詳しくはこちらから:http://rrr666.net/

<第1日目>2019年2月28日(木/終了)

<第2日目>2019年3月1日(金)
「BURSTを考える! Round 2」
【出演】ピスケン/釣崎清隆/根本敬/森園みるく/石丸元章/シギー吉田/中村保夫/福田光睦/辻陽介/ケロッピー前田 他
【時間】第一部 18:00 /第二部 19:30
【料金】1500円(ドリンク別、要オーダー)※第一部から継続は要追加オーダー

<第3日目>2019年3月2日(土)
「オキュパイ・スクール BURST アワード」
【出演】石丸元章/じゃぽにか/酒井透/金子山/沼田学/PONOPONO/ケロッピー前田 他
※作品&企画持ち込み歓迎!
【時間】17:30開演(18:00開場)
【料金】1500円(ドリンク別、要オーダー)

【ケロッピー前田『クレイジーカルチャー紀行』出版記念イベント】

【出版記念イベント】
東京・3月7日(木)19:30~21:00 @文禄堂高円寺店 (http://bunrokudo.jp/
ケロッピー前田『クレイジーカルチャー紀行』刊行記念トークライブ
「身体改造ジャーナリスト=ケロッピー前田が誕生したとき」
[出演]ケロッピー前田、末井昭、角由紀子
[予約]Peatix(https://peatix.com/event/602884) or 電話(03-5373-3371)or 店頭受付

大阪・3月11日(月)19:30~ @ロフトプラスワンWEST
「『クレイジーカルチャー紀行』出版記念! ケロッピー前田とゆく驚異の身体改造の旅!!」
[出演]ケロッピー前田、福田光睦、他
詳しくはロフトプラスワンWESTウェブサイト(https://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/date/2019/03/11)から!

コメント

2:匿名 2019年3月2日 04:44 | 返信

バーストがまだバイカー雑誌だったころ、刺青とかクスリをバイクと同列に扱うなんて許せん!ってミスター・バイク誌が怒ってたの思い出した。当時はブランキーが表紙だったな。懐かしいね。

1:匿名 2019年3月2日 00:05 | 返信

身長194のケロッピと並ぶと根本がコロポックルに見えるw

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