カルト映画レビュー 第8回

公開中の幸福の科学映画、実は「ゾンビ映画」という衝撃!/やや日刊カルト新聞【※ネタバレ注意】

ゾンビなのに心電図が……

 

 主人公は、御祖真(みおやまこと)。ベストセラー作家で30代のうちに自分で出版社「黄金出版」を設立し成功している人物という設定だ。

 作家といいつつ、書いている本は『常勝思考』とか「成功」のなんたらといったようなタイトルばかり。自己啓発本を生業にして「作家」を名乗るって、どう見ても胡散臭い

 それもそのはず。真には霊が見えたり霊の言葉が聞こえたりしている。もともと霊界の存在などを人々に伝えたいという気持ちもあって本を書いていたようだ。

 作家兼出版社経営者として多忙を極める真。妻の磯子(さとう珠緒)も出版社の経営陣で、子供の世話は家政婦や秘書(千眼美子=清水富美加)に任せっきり。それでも妻は多少、子供の面倒は見ているようで、移動の車中で「あなたも少しは」といった調子で真をなじったりする。

 こんな人物設定や日常生活の描写もそこそこに、真は胸を押さえてぶっ倒れる。集中治療室に入れられ、医師が磯子に「死んでいるはずなのに生きている」「数日前に心不全を起こしているはず」などと説明する。病院のシーンで、隅っこに「赤・黄・青」の三色のゴミ箱が並んでいた。創価学会からの霊的攻撃を暗示しているのだろうか(たぶん関係ない)。

「お父さんは今夜にでも死ぬかもしれない」

 3人の子供たちも病院に呼ばれ、家族で集中治療室の真に面会する。集中治療室だからか全員がマスクをつけて入るのに、なぜかベッドの脇で病人に話しかける際に家族全員、一斉にマスクを外す。本当は皆、お父さんを死なせたいと思っていたのかもしれない。

 ところがお父さんはベッドに座って本を読んで、元気に子供たちと会話する。脇にあるモニターには普通に心電図の波形が表示されている。死んでいるはずなのに。

 病室を出た後、家族は大混乱だ。長女は父親を心配しているが、

母親「医学的には死体なの!」
長男「バスケ部の合宿行ってくるわ~」
次男「ぼくの受験が終わるまで死なないよね」
母親「お医者様は絶対なの! あなたたち、私の気持ちがわからないの!」

 妻も子供も自分勝手。その中で謎なのは母親のキレ方だ。夫の死を悲しんでいるというより、死体が起き上がって喋っている現実を主張したくて苛立っている。いかにもゾンビ映画らしい展開だ。

 家族の混乱をよそに真は病室で一人、イエス・キリストの霊と会話をしたりしている。このシーンではイエスのほかに、何の説明もなくハゲた眼鏡の白人のおっさん霊も登場した。

「お前、誰よ!」

 何の断りもなくイエスと並んで主人公に話かけているハゲ眼鏡に、私は心の中でツッコミを入れていた。エンドロールでわかったのだが、このハゲ眼鏡は「E・ケイシー」(エドガー・ケイシー=アメリカの霊能者)だったようだ。

 

教団がパージしたきょう子・宏洋キャラが登場


 大川隆法の子供は5人だが、作中で主人公の子供は3人。数は減っているものの、教団がパージした宏洋(大川の長男)に当たるキャラらしきものは登場していた。主人公の長男だ。

 お調子者風の性格、学校でいいじめられ引きこもりになった次男を心配する母親や妹の前で能天気に(わざとらしく)エレキギターをかき鳴らしながら登場する。さほど露骨ではないが、宏洋との共通点がうかがえる。

 母親のキャラクターは確実に、大川隆法と離婚した元妻・きょう子だ。

 主人公の真と妻・磯子の出会いを回想するシーンがある。結婚相談所で妻探しをする真が、手違いでマッチングされてしまったのが磯子だ。有名作家の真が相手と知って舞い上がり期間中のように喋り始める磯子。初デートで磯子は、「先生のファンクラブの人たちにデートだと言ってきた」「デートしたんだから責任取ってよね」と迫り、あっという間に結婚だ。

 幸福の科学では大川隆法が離婚する際、きょう子の霊を呼び出して、きょう子が隆法との初デートで「結婚しなければ会員に言いふらす」と脅迫して結婚を迫ったのだということにした。事実関係はわからないが、それが教団内での大川隆法の1度目の結婚のストーリーになっている。

 それが、よく似た内容で作中に描かれているのだ。

 また作中、主人公の妻・磯子は、父親が医師という設定。これもきょう子と同じだ。作中では、心の力で病気を直したと主張する真に対して、磯子は医師による医学上の説明を根拠にして対立する。幸福の科学風に言えば「信仰者vs唯物論者」だ。

 2011年の大川隆法の離婚騒動時、夫婦喧嘩を幸福の科学は「宗教対立」と主張。大川の教えにきょう子が逆らったことが問題なのだということにしようとやっきだった。その自己正当化のストーリーが、本作にも反映されている。

 長男・宏洋は、大川隆法の学生時代から教団設立までを描いた前述の『さらば青春、されど青春。』で大川隆法役(作中では中道真一という名前)を務めた。しかしその後、教団から追い出され(宏洋本人は自分からやめたと主張)、現在はYouTuberとして教団批判を展開。教団から訴訟も起こされている。『さらば青春──』はDVD化されず教団の黒歴史と化した。

 本作でも『さらば青春──』と同じエピソードが回想として登場するが、前作とは役者が違う上に、前作の役者は教団の天敵・宏洋。今回、わざわざ『さらば青春──』と同じようなセットを組んで、同じようなシーンを撮り直して回想に使っていた。ご苦労さま。

コメント

1:匿名 2019年11月9日 14:09 | 返信

霊V男優は草
オモロいやん

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