カルト映画レビュー 第8回

公開中の幸福の科学映画、実は「ゾンビ映画」という衝撃!/やや日刊カルト新聞【※ネタバレ注意】

悪魔が正しいことを言う


  本作中、妻・磯子は、「きょう子」なので当然、作中でも悪魔扱いだ。

 真は死体になったにもかかわらず病院での治療を拒み、ほどなく退院する。死体のくせにリハビリで驚異的な回復をとげ、死体のくせに退院後も通院してレントゲン写真を前に医師の話を聞く。死体のくせに飯を食い、仕事をする。

 もともと自己啓発本作者だったが、死体になってからは信仰の大切さを説き、本の執筆だけではなく海外も含めての講演やセミナー活動に精を出す。「特別セミナー 心の力で病気は治る」という横断幕の前で講演するシーンもある。怪しい商売に手を染めた忙しいやり手ゾンビだ。

 死体になった直後は家族を蔑ろにしてきたことを悔いているかのようなセリフもあった。なのに、死体として本気を出してからは、よりいっそう家族をほったらかし。

 そんな中、遠隔透視なのか何なのか、真は次男が学校でいじめられているビジョンを見る。次男は登校拒否になり自室に引きこもっていた。それ、家族だったら霊能力を使わなくても気づくよね、普通。

 自宅の子供部屋の前で、次男を心配する両親と兄弟たち。子供たちの前で磯子が真をなじる。

「家族はほったらかしじゃないの!」
「人類救済なんて言って、自分の家族はどうでもいいの!」
「パパはこの間まで死体だったのよ!」

 磯子が言っていることはぜんぶ正しい。なのに、磯子の顔はどす黒く邪悪に。

 真が叫ぶ。

「悪魔よ去れ!」

 主人公にとって都合の悪い正論を吐く者は、幸福の科学では悪魔なのだ。

 『さらば青春─』でも、会社員である主人公(宏洋)が宗教を開こうとするのを悪魔が引き留めようとするシーンがあった。そのときの悪魔の影響で、主人公がついこんなことを口走る。

「45歳くらいまで仕事を続けて経済的に安定してからにするのがいいのではないか」
「愛する人を路頭に迷わせていいのか」

 まさにその通りだろう。しかし主人公は「悪魔が邪魔をしに来るということは、私が救世主であることの証明であり、立つ(宗教を開く)べき時は今だということだ!」と言い放って、救世主として覚醒。会社を辞め宗教を開いてしまう。

 自分が正しいという根拠はない。悪魔が言うことの逆をやっとけば正義という、単なる逆張りだ。

 言っている内容は悪魔のほうが正しく見えるし、悪魔は何も悪いことをしていない。そんな幸福の科学映画の醍醐味のひとつが、『世界から─』でも遺憾なく炸裂していた。

 

信仰で家族が分断される教祖一族の恐ろしさ

 

 今回のゾンビ映画ならではの本領は、ここから。

 引きこもってしまった次男は子供部屋から出てくるが、いじめ問題はほったらかしにされ、教祖化したパパゾンビについていくかどうかをめぐって家族会議が始まってしまう。

 長女が言い放つ。

「家族としてじゃなくて、1人1人がパパの教えを信じられるかどうかなの!」

 家族の関係が信仰を基準として左右されてしまう。信者の子供が信仰に縛られる幸福の科学の「2世問題」の背景がよくわかる。

 チアリーディングの発表会に両親が来てくれなくても不満を言わずじっと耐え、死体になった父親を素直に心配し、兄弟をフォローするなど、最も理知的な立ち回りを見せてきた長女。それが悪魔よりはるかに狂ったことを口走る。常識的な悪魔と狂った善人の戦いだ。

 意図的なストーリーではなく、このおかしさに気づかない人々がガチで作っているのが幸福の科学の映画の本当の恐ろしさである。

 発狂した善人の長女が、さらに言う。

「明日の朝8時に、パパを信じてついていく人はリビングに集まろう」

 パパゾンビを信仰するか、悪魔化した母親についていくか。家族なのに、信仰で分断される。その分断を敢えて決定的にするための家庭内踏み絵大会のスタートだ。次男のいじめ問題なんて、もうどうだっていい。

 教祖であり、この家族の分断の原因である真本人は何もしない。すべて狂った長女が仕切っている。これが「弟子の暴走」というやつか。

 神や救世主が能書きを垂れるだけで自分では何もしない(弟子たちが勝手に頑張る)というのも、幸福の科学映画ならではの展開。現実世界の幸福の科学でも、教祖は能書きをたれて信者を煽るだけで自分は何もしない。都合が悪くなると「弟子が勝手にやった」ことにする。

 翌日の早朝、磯子はカバンひとつで自宅を出ていく。そして8時。リビングに真と3人の子どもたちが集まる。時計が鳴る瞬間、全員の目がリビングの入口の扉に注がれる。当然、母親は来ない。皆、無言だ。

 誰一人、母親がすでに出ていったことにすら気づいていなかったのか!

 この時点で母親はすでに家族の眼中にない存在にされてしまう。「ママを探しに行こう!」なんて言う子供はいない。長男が次男に語りかける。

「明日、学校行ってみようか」
「うん!」

 いじめ問題は何一つ解決していないのに。教祖は正しいのだから悪魔を追い出せば全てうまくいくはずと信じて疑わない人間が脚本を書くと、こうなってしまうのか。

 最後は、真の著書が映画化され、映画館での上映を家族みんなで見るシーンでおしまい。

 磯子らしき女性が映画館に来て席につくシーンもあったが、何がどうなったのかは謎。真にヒーリングで足を治してもらったはずの真の母(芦川よしみ)も映画館にやってきたが、杖をついて足を引きずっている。治りきっていないということは、息子への信仰心がいまいちなのか。

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