奇習！ 老人に餅をたらふく食わせて「強制窒息死」を狙う棄老習慣！ 幸福な食卓から一転、地獄の苦しみへ＝東北

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　地域で暮らす人々の誰もが食うに困り、やっと生まれた幼い子供たちにやる母乳でさえも、栄養失調からなかなか出ないという有り様が当たり前だったという当時、働き手でもなく、ただただ食糧を消費するだけという位置づけになっていたという高齢者たちは、多くの寒村がそうであったように、いわゆる「口減らし」の対象になりやすかったという。しかし、それまで一生懸命になって働き続け、老いていった人々を、いきなり山深い場所へと放り出すのは躊躇われるため、最期に美味しい餅をたらふく食べさせることで幸せな気持ちにさせ、その後、あくまで「事故」として窒息死させることで、あの世へと送り出していたのだそうだ。

「たしかにね、いくら餅をたらふく食べられるからといって、殺されるのはわかってるわけだから、じいさん、ばあさんたちは、そりゃあ悲しい思いもあったと思うんだよ。けど、そうすることで、子供や孫たちは生きながらえることができる。それに、そのまま身一つで山奥におっ放りだされたってしょうがないのに、自分らの食うものを我慢して、餅を振る舞ってくれるわけ。だからね、いざそういうときになると、みんながみんな、穏やかな顔をして、ありがとうって言って、餅を食べ始めたそうだよ……今の人にはわからないかもしれないけれども、私もこの歳になると、その気持ち、本当によくわかるね」

　日本各地に残る姥捨て山の話をはじめ、世の中には実に様々な棄老に関する言い伝えが存在しているが、そうした中でも、当地のように「餅を食わせる」というものはあまり耳にしたことがない。いずれにしかり、少子高齢化が深刻な社会問題となり、高齢者の孤独死や虐待に関するニュースが当たり前のように報じられる昨今、人間の「尊厳ある死」というものを、改めて考えさせられる話であるといえるだろう。

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文・取材＝戸叶和男

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