売り切れ続出の薬「シクレソニド」は本当に新型コロナウイルスの特効薬なのか!? 専門家3人に聞いてみたら…(インタビュー)

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イメージ画像:「Getty Images」

 世界各国で猛威を振るう新型コロナウイルス。感染拡大に歯止めがかからず、状況は悪化する一方だ。3月11日には、ついに世界保健機関(WHO)から世界的大流行を意味する「パンデミック」宣言も出された。人類はいったいどのようにこの見えない敵に立ち向かえばよいのか?

 先日、集団感染が発生した大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船していた感染者3人に対し、喘息治療薬「シクレソニド」を投与したところ症状改善につながったという情報が一部で報じられた。これが本当ならば全人類にとっての朗報となるが、効果が実証されるにはまだまだ時間を要するだろう。とはいえ、このままパンデミックに怯えてばかりいるわけにはいかない。そこで筆者は、「シクレソニド」が新型コロナウイルス感染の治療薬として機能する可能性を探るため、薬剤師で医療ジャーナリストの吉澤恵理氏と、東京大学卒業で医療にも詳しい神奈川県内の某大学の物理教授X氏に見解を聞いた。

■シクレソニドは期待大!?

 まず、新型コロナウイルスに感染した患者がシクレソニドによって改善したケースについて、一般社団法人「日本感染症学会」で報告された『COVID-19 肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例』という論文における記述を見てみよう。おそらく、観察された事実のみに基づき、客観性に注意した分析を行ったものと思われる。

「シクレソニドは吸入用ステロイドとして未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられる安全な薬剤であり、気道の慢性炎症の抑制に効果があるとされる。COVID-19による肺傷害の病理はいまだ明らかになっていないが、MERSやSARSから推定されるところでは、ウイルスが肺胞上皮細胞で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞マクロファージ等に感染し局所の炎症を惹起すると考えられ、シクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。シクレソニド以外の吸入ステロイドには、COVID-19の抗ウイルス作用は現時点では認められない。

COVID-19に対するステロイド治療はウイルス血症を遷延させる可能性や糖尿病等の合併症があり推奨されないと報告されている」(5頁右)

 これについて吉澤氏は、次のように語る。

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