患者の家に放火して… 本当にあった非人道的な伝染病対策
感染症の怖い奇習 ― 患者の家に放火して“なかったこと”に… かつて行われた非人道的な伝染病対策とは=西日本
【日本奇習紀行シリーズ 西日本】
今年に入ってからというもの、巷では新型コロナウイルスが猛威をふるい、大変な騒動となっているが、かつてこの国の一部の地域では、迫りくる疫病の脅威に対し、当世では考えられぬような方法で対処していたという。
「そんな、非常識だの非人道的だのなんだのと言われたってね…… とにかく昔はそういう決まりになってたんだよ」
西日本のとある地域に定着していたという公衆衛生に関する誤った認識と、そこから生まれたであろう忌まわしい習慣についてそう語りはじめたのは、当地で生まれ育ち、二十歳過ぎまで暮らしていたという前澤剛さん(仮名・84)。前澤さんの話によれば、大昔はもちろんのこと、戦後しばらくの時期までは、地域で疾病などが流行るたびに、あらぬ形で対処してきた歴史があるという。
「今じゃ考えられないことだけども、昔は薬の効かない新しい病気だとか、薬があっても高くて買えないような病気にかかるとさ、それ以上、被害が出ないように、病人の出た家をこっそり夜中に火をつけて燃やしてしまうことがよくあったね」
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