服をハサミで切り裂かれて裸に! ホドロフスキーの心理療法『サイコマジック』がネットで先行上映中! ヤバすぎてもはやコロナ禍の癒し…!

 ホドロフスキーの代表作といえば、『エル・トポ』(70年)や『ホーリー・マウンテン』(73年)が有名だが、本作では初期作『ファンド・アンド・リス』(1968)、自叙伝的映三部作のうち公開されている『リアリティのダンス』(2013年)と『エンドレス・ポエトリー』(2016年)からの引用も多い。

 ここで改めて、ホドロフスキー作品を振り返るなら、それらはまさに体験としての映画、フィクションの物語に忘我的に酔うのではなく、映画そのもの強烈なビジュアルが超絶体験として迫り、鑑賞者自身に意識の変容を引き起こしてしまうようなものであった。そこからカルトムービーという言葉が生まれ、当時のカウンターカルチャーに絶大な影響を及ぼしてきた。また、ホドロフスキーは、タロット・リーディングでも知られ、タロット研究の集大成というべき『タロットの宇宙』(国書刊行会)も著していおり、オカルトファンにとっても見逃せない存在である。

 さらに2010年代に入り、自叙伝的映画で監督として返り咲いてからは、若きホドロフスキーの役を息子たちに演じさせることで、自らの人生を追体験させており、その手法自体が家族の問題を取り出して、演劇的な行動に還元するというサイコマジックそのものである。ホドロフスキー自身、自叙伝的映画の制作を通じて、自らが抱えていた父との葛藤をやっと乗り越えることができたという。

『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky
『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky

 その意味でも、本作はサイコマジックをより良く知ることができるばかりでなく、これまでのホドロフスキー作品すべての謎を解くための鍵でもある。

 本作の終盤は、サイコマジックの手法はソーシャル・サイコマジックとして、もっと大きなテーマに向けられていく。

 ホドロフスキーに言わせれば、サイコマジックはあくまで芸術であるから、それはプラセボ効果であり、実際の疾患を治療したりすることは不可能だという。それでも長い闘病に苦しむ女性は、ホドロフスキーとともにステージ上がり、劇場に集まった約4000人の観客たちからのエネルギーをもらうことでその後も生きていく活力を得ることができた。

『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky
『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky

 そして、サイコマジックは、メキシコの死者の行進でも実践される。ドクロを連想させる死者のメイクをした群衆のなかに、ホドロフスキーも加わっていく。ここでは癒しの対象は社会や文化へと向かっており、その様子は彼の映画お得意の群衆シーンを思い起こさせるのだ。

『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky
『ホドロフスキーのサイコマジック』 (C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky

 さらにつけ加えるなら、サイコマジックの基礎となっている演劇的な行為のアイディアは、ホドロフスキーが映画製作を始める以前、「テアトル・エフェメール(儚い演劇)」という即興劇をやっていた1960年代にまで遡る。当時、パリを拠点にしていた彼は、シュルレアリスムの影響を受け、俳優も脚本も舞台装置もない、行為だけの演劇に挑んでいた。それはある一人の人間に対して、いままでしたことのない経験をやってみるよう提案するというものだった。そのとき、すでにそのような行為には、癒しの効果があることに気がついていたという。

 そして、本作こそ、ホドロフスキーがいう「芸術は人を癒す」ことを作品そのもので証明してくれているものだろう。

 コロナ禍にあるいまだからこそ、本作で活力を取り戻し、現実を力強く生き抜いて欲しい。

(文=ケロッピー前田)

【アレハンドロ・ホドロフスキー監督・新作映画公開情報】

映画『ホドロフスキーのサイコマジック』

公式サイト:https://www.uplink.co.jp/psychomagic/

2020年5月22日(金)アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、アルチュール・アッシュほか
日本語字幕:比嘉世津子
配給・宣伝:アップリンク
2019年/フランス/104分/フランス語、スペイン語、英語/1:1.85/5.1ch

【オンライン先行上映】

映画『ホドロフスキーのサイコマジック』を本来の公開日だった4月24日(金)より、アップリンクの運営するオンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて先行配信いたします。(詳しくは公式サイトをご覧ください https://www.uplink.co.jp/psychomagic/

今回の先行配信は、映画館への支援としてオンライン映画館での売上から、本作の上映を予定している全国の映画館へ均等に分配します。 通常プラン1,900円と、寄付込みプラン2,500円をご用意しました。いずれも72時間レンタルとなっております。
期間:2020年4月24日(金)14:00~5月21日(木)14:00

■参加映画館

アップリンク渋谷(東京)、アップリンク吉祥寺(東京)、新宿シネマカリテ(東京)、シネマ・ジャック&ベティ(神奈川)、あつぎのえいがかん kiki(神奈川)、シネマアミーゴ(神奈川)、シネマテークたかさき(群馬)、あまや座(茨城)、シアターキノ(北海道)、シネマディクト(青森)、フォーラム八戸(青森)、フォーラム仙台(宮城)、フォーラム福島(福島)、フォーラム山形(山形)、フォーラム盛岡(岩手)、名古屋シネマテーク(愛知)、静岡シネギャラリー(静岡)、ほとり座(富山)、シネモンド(石川)、松本シネマセレクト(長野)、シネ・リーブル梅田(大阪)、アップリンク京都(京都)、元町映画館(兵庫)、シネマ・クレール(岡山)、横川シネマ(広島)、シネマ尾道(広島)、ufotable CINEMA(徳島)、KBC シネマ(福岡)、シネマ 5(大分)

※参加映画館は随時追加となります。

【オフィシャルグッズ先行販売】

ホドロフスキー公認オフィシャルグッズをオンライン先行販売

販売開始:2020年4月24日(金)14:00~

オンライン店舗:アップリンク・オンライン・マーケット(https://uplink-co.square.site/psychomagic)、Sister(https://sister-tokyo.com)、CAFE:MONOCHROME(https://cafemonochrome.com)、六本木蔦屋書店(https://store.tsite.jp/roppongi/)、DISK UNIONシネマ館(https://diskunion.net/movie/

※各店舗により取扱い商品が異なります。お取り扱いのない商品もございますので予めご了承ください。

文=ケロッピー前田

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ) 

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!

公式twitter:@keroppymaeda

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