生まれてからずーっと無視された5歳少年…誰からも忘れられた虐待「厚木市幼児餓死白骨化事件」を映画化! 川松尚良監督インタビュー

文春の職場仲間が泣いた!? 猟奇事件、陰謀論、NHK、薬物… 文春元エース記者・中村竜太郎スクープインタビュー!の画像1

 映画監督・川松尚良氏は幼稚園の卒業文集で「将来の夢はホラーかんとく」と記すなど、まさにホラー監督として生きるためにこの世に降臨した人物である。

 日本大学芸術学部映画学科卒業後、スナッフ(殺人)ビデオをテーマにした長編ホラー映画『マクト』で 「2001年度 ひろしま学生キネマ祭グランプリ」を受賞。その後も次々とセンセーショナルな話題作を生み出した。

 最新作は「厚木市児童餓死白骨化事件」を題材にしたホラー映画『我が名は理玖』。児童虐待という悲痛で難しいテーマを見事にホラーの手法で表現し、過酷な現実を描き切った。本作は鎮魂ホラー映画の傑作である。

 そんな川松監督が、TOCANA製作の新番組『封印された日本 猟奇事件暴露ファイル』でメガホンを取ることになった。次世代Jホラーを担う、川松尚良監督インタビューを全4回にわたってお届け、今回は第2回目である。

※ 川松監督が壮絶な生い立ちを激白、インタビュー第1回はコチラ


■川松監督の映画『我が名は理玖』について

――映画『我が名は理玖』はどうやって製作するに至ったのでしょうか?

川松尚良監督(以下、川松)  『我が名は理玖』の脚本は、僕の弟に書いてもらってるんですよ。

 弟はゲームの脚本を書いているのですが、ホラー短編の企画の話が来た時に、弟と一緒にやろうということになりました。結局、その企画は予算が下りずに立ち消えたのですが、「俺たち2人で何かやろう。そして、何かやるなら家族の話にしよう」と話したんです。

映画『我が名は理玖』海外版イメージビジュアル

 それで、本当にあった事件を元にした家族の話を撮ろうとなって、その時、弟が「こんな事件があるんだけれど」と提案してきたのが、「厚木市幼児餓死白骨化事件」(※)だったんです。

 僕らの地元から非常に近い厚木市で起きた事件だし、これは俺たちが取り上げなければならない事件だということになったんです。

※ 2014年、神奈川県厚木市のアパートで幼い男の子の白骨遺体が見つかった。遺体は齋藤幸裕の長男・理玖くんだった。04年に妻が家出をして以来、幸裕は電気、ガス、水道が止められたゴミだらけの部屋に理玖くんを閉じ込め、やがて外に恋人を作りアパートに帰らなくなった。放置された理玖くんは07年冬、に絶命した。さらに幸裕は遺体の発見を恐れ、その後7年間も家賃を払い続けていた。幸裕は懲役19年の判決が下されたが、2017年1月、殺意が認められなかったとして、2審では懲役12年に減刑された「保護責任者遺棄致死罪」となった。

――父親のネグレクト(育児放棄)事件として社会が震撼しましたよね。

川松  亡くなった理玖くんという子は、生まれてからずっと無視されていたんです。僕も実際に事件現場に行ったのですが、ごく普通のアパートで。周囲はすごく平和な住宅街だし、普通に人通りもありました。

 だから、父親が理玖くんを家から出して遊ばせているときに、なぜ誰も理玖君を気に留めなかったのか、不思議なんです。だって、爪も髪の毛も伸び放題で、3歳になってもオムツが外せないガリガリの男の子が遊んでいる様子を見て、周りの人はどう思ったんだろうって。

川松尚良監督(撮影=編集部)

 一度、父親が、理玖くんを家に閉じ込める数カ月前のある1月の早朝、裸足で震えながら外を歩いていた理玖くんを近所の人が保護して、警察に連れて行ったことがあったんです。でも、その警察は彼を迷子で処理して児童相談所に送って、また父親が引き取ってしまった。

「そんなバカなことあるはずがない」と思うでしょう? なぜそこまで悲惨な状態の理玖くんを周囲の大人たちは無視できるのかなって。

 僕は『我が名は理玖』を完成させた後、理玖くんに伝えたくて彼の墓前を尋ねたいと思ったのです。それで、事件に関係する警察や児童相談所、そして、市役所の児童福祉課に連絡したんですけれども、誰も理玖くんのことを覚えていないのです。

――もう忘却の彼方に追いやられているのですね。

川松  事件からまだ10年も経っていないんですよ。救えなかったという後悔とか、罪の意識はないんですかね。

――ただ、理玖くんの父親の親も毒親で、まともな教育を受けていなかったことが原因だったという見方もされています。

川松  それは存じてます。父親もいろいろ事情を抱えていそうですけど、まあ、親になってはいけない人間というのがいるんです。

 それにしても、「なぜ周りが異変に気づかなかったのか?」というのが問題だと僕は思うんです。気づいていながらも、面倒なことに巻き込まれたくないというのが、今の社会にはあると思います。

 実際に、僕も以前、虐待を受けてるだろうなという子供に会ったことがありました。

プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ