自殺未遂騒動の前に撮影された最重要・封印映画! 問題児・近藤真彦と中森明菜が共演の壮絶すぎる内容とは?

 冒頭で母親と赤ん坊による宇宙や神様に関する質疑が繰り返され、最後に赤ん坊が「死んだらどうなるの?」とママに尋ねる。そんな丹波哲郎チックに始まった作品のヒロインは、昼間は喫茶店のバイトで生活費を稼ぎ夜は定時制高校に通う、身寄りがない上に心臓疾患を持つ薄幸の美少女ユキ(中森明菜)。持病が悪化して入院したユキは、トイレで「かわいそうにねえ、あの子。あと半年だって」とナース同士の会話を聞いてしまい(3人のうち1人は舛田監督の長女・舛田紀子)、失意のどん底へ落とされる。

 不憫に思ったナースらは、ユキに子犬をプレゼントする(え?)。ユキは子犬に愛読書の怪談『耳なし芳一』から「芳一」と名付け(汗)病室で飼う(いや、ダメでしょ?)。餌代や散歩はどうするの? 何も考えていない無責任なナースたち。そして深夜に芳一は誰もいない壁に向かって吠え出し(オバケがいるらしい)、それを叱って興奮したユキが胸を押さえて苦しみ出す。犬はその後、最後まで出てこない……。

 そんなユキの周辺では、夜中にラジオが鳴る、窓のカーテンが独りでに開くと怪現象が頻繁に起こる。そしてユキの前に、以前芳一が吠えていた壁から法衣を着た男子児童が現れる。彼は「耳なし芳一」と名乗り、怪現象はユキの念力がさせたのだと言う。ここでユキが超能力者と判明する。芳一が「死ぬ前に恋人が欲しい」と言うユキを外に連れ出すと、新宿のデパートで誠(近藤真彦)に出会い、すぐに打ち解ける。誠のバイクで海まで走り、ようやくアイドル恋愛映画らしくなってくる。だがガス欠になった誠がガソリンを探しに行ってしまい、深夜の郊外に一人放置されたユキは発作が始まり亡くなってしまう。

 ユキが病理解剖されると聞いた誠は、夜通し連れ回して死期を早めた事を棚に上げ、担当医からその医学的貢献と社会的意義を説明されても「他人なんてどうでもいい!」と暴走。勝手にユキの遺体を運び出し、小屋の中で乳房の上から心臓マッサージとマウス・トゥー・マウスで人工呼吸を施す。その頃ユキの意識はスーパーマンのように空を飛びあの世に向かっている。すると強い地震が発生して2人は生き埋めになるが、瓦礫の中から助け出されたユキの心臓は動いていた! それから半年ユキは生き延びるが、誠にオンブされて海岸を散歩中、その背中で息を引き取る。

 当初は沢田研二主演『太陽を盗んだ男』(79年)の監督・脚本を手掛けた長谷川和彦が『PSI』(サイキック)という中森明菜を超能力者として全面に押し出した脚本を書いた。最終的に近藤・中森両事務所の希望もあって、以前たのきんトリオ主演『ハイティーン・ブギ』(82年)を撮った舛田利雄監督と、『仁義なき戦い』シリーズなどで有名な大御所・笠原和夫の脚本で決定した。

 舛田監督は長谷川脚本の超常現象を生かし、後に映画化される丹波哲郎のベストセラー『死後の世界の証明』を若者向けに取り入れようとした(『愛・旅立ち』で丹波哲郎は、マッチにあの世を語るホームレスとして出演)。……そこだね、作品が迷走した根っ子は。これに笠原和夫が「う~ん」となって(笑)まとめきれなかったというのが大筋のようだ。それにしてもオバケの芳一っていったい何? 『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドみたいなモノ?

文=天野ミチヒロ

天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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