■筋金入りの「消された」作家たちが集結!
――展示に参加されている作家たちはどのように集めたのですか?
酒井 1回目は、私の知り合いばかりでした。2回目からは公募もしました。3回目の今回は、4分の1くらいが応募してきた新しい方ですね。
――公募もしているんですね。どんな方が応募してきますか?
酒井 最初は応募された作品を全部OKにしようかと考えていましたが、性器が写っていればなんでもいいのか、プロとアマチュアのクオリティーの大きな差をどうすべきかという問題がありました。「消された展」に応募してきたのに、われわれが精査するというのも本当に心苦しいのですが、ある程度は選ばせていただきました。僕も展示会の応募で断られた経験はありますし、「また来年」と頑張れましたので懲りずに応募し続けてほしいです。
――その選りすぐりの作家たちの中に、酒井さんから見ても「さすがに消されるだろう」という方はいますか?
酒井 います。圭子さんがそうですね。昨年の展示では消された作品で埋め尽くした「消された壁」を作ったのですが、圭子さんが持ってきた作品は、性器がモロに写っていました。すぐに「そりゃ消されるだろう」って思いましたね(笑)。圭子さんは「#はだかはふつう」というハッシュタグをつけて作品を投稿し続けているほどなので、感覚は相当(プラットフォーム側と)かけ離れていますね。
ほかにも、イラストレーターの菱川みひろさんは女性の局部が大好きです。局部を絵に描きたいけど、女性は脚を開く姿勢をあまりしないので、緊縛の技術を習得したといいます。(笑)
――まさに筋金入りの「消された」作家たちばかりですね。
酒井 展示の図録を作ったときも、みんな頭がズレているので、菱川さんの絵に局部が描かれているのに校正でスルーしてしまったんです。すると印刷所から「これは印刷できません」と連絡がきてしまって……。
――SNSだけでなく、印刷所からもNGを!?
酒井 僕も、クマのぬいぐるみと女のコの絡みがある写真集を作ったときには印刷所から「性的な行為を思わせます」とNGになりました。(笑)