――最後にSNSにおいて、ヌードやポルノ以外…… 誹謗中傷や差別の問題に対してはどのように考えていますか?
酒井 僕は、写真・文章・音楽など、どんな表現であれ人を傷つける目的でやるものではないと考えています。表現するならば、人を幸せにするものを出したい。クソリプなども、黙っていればいいじゃないですか。わざわざ人を傷つけるために表現するものではないし、意味がない行為ですよ。
ポルノ絡みで起こりがちな問題は、被写体の同意を得ずにSNSに載せることなどです。だから規制が必要なんです。それは僕も当然守りますし、差別や誹謗中傷という面にも十分すぎるほど気を配らなければいけないと思います。ただ、僕の人生を振り返ると、人を傷つけたり、騙したりしてきた部分もあるので……。ダークサイドに関してはまた別の取材でお話しますよ。
ふつふつと湧き上がる情熱を、気さくに語ってくれた酒井よし彦氏。筆者は当初、「私たちは消された展2021」について「SNSのアカウントがバンされるような危ない人たちの集まり」かと思っていたが、その主張は至極真っ当で、自身の芸術に対して真摯に取り組む作家たちばかりであることを理解した。筆者自身、過去2回の展示を鑑賞しているが、どの作品もエロチシズムの切り取り方がとても興味深いと感じている。エロとは、性とは、表現規制とは……? 深部まで考察するキッカケになる展示を、ぜひ見てほしい。
さて、インタビュー終盤で酒井氏が言及していた自身の“過去”については、次の記事で迫りたい。バンドマンからヤミ金、ホストまで経験し、島への逃避行を経てカメラマンになったという破天荒すぎる人生譚。楽しみにお待ちいただきたい。
私たちは消された展2021
●出展者
耐江、Turkey、琥珀翠、あがかん、garasunokutsu、圭子、18%Gray、howdygoto、木野正好、栗村新、菱川みひろ、天野功、フクサコアヤコ 、マキエマキ、酒井よし彦、釣崎清隆、大塚咲(ゲスト出展) ※順不同 敬称略
●会期
2021年2月8日(月)~14日(日) 11~19時 ※初日は14時開場、最終日は18時まで
8日17時から オープニングレセプション セクシー漫談
11日15時から 建国記念日レセプション 緊縛ショー
14日15時から クロージングレセプション 女体ライブアート
●会場
ギャラリーCORSO
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-1-6 日建ビル3F
酒井よし彦(さかい・よしひこ)
千葉県生まれ。フォトスタジオMe-CeLL代表。年間1,000人を超す撮影を精力的にこなす。女体専門に撮影し、男の欲情を煽る写真を得意とすることから戦場ならぬ扇情カメラマンと呼ばれ、女体のエロティシズムを表現する事に余念がない。広告、グラビアなど各方面で活動。
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